パカっと開くライトがイケてた!「リトラクタブルヘッドライト」搭載車の人気再燃!? 維持するときの注意点は?

国産初はトヨタ「2000GT」

 リトラクタブルヘッドライトはかなり長い歴史があります。1935年にアメリカで採用されたモデルもありますが、全世界的に普及しはじめたのは1960年代から。

 もともとは北米で、歩行者に対する安全への配慮からヘッドライトの搭載位置に最低地上高が決められており、そこで車体を低くして空気抵抗を減らすため、またデザインの自由度を高めるために、使用時以外はボディに格納できるリトラクタブルヘッドライトが開発されたという経緯があります。

国産車で初めてリトラクタブルヘッドライトを搭載したトヨタ「2000GT」
国産車で初めてリトラクタブルヘッドライトを搭載したトヨタ「2000GT」

 当時はもちろんLEDやHIDなどあるはずもなく、大きい四角形か丸形のヘッドランプを搭載するのみでした。

 そこで登場したリトラクタブルヘッドライトは、この「未使用時は格納する」と「使用時はポップアップしてヘッドライトが出現する」というギミックが魅力的な装備とされ、アメリカのシボレー「コルベット」だけでなく、フェラーリ「512BB」、マセラティ「メラク」、ランボルギーニ「カウンタック」など、当時「スーパーカー」と呼ばれた欧州メーカーの高級スポーツカーの多くが採用。

「リトラクタブルヘッドライト=高性能スポーツカー」のイメージが定着したものと思われます。

 また、国産車としては1967年に誕生したトヨタ「2000GT」で初採用。伝説的な名車である高級スポーツカーに採用されたことで、そのイメージはより強くなったと考えられます。

 このイメージを上手に活かし注目度を高めたのが、1978年に誕生したマツダ「RX-7」です。当時は今以上に高値の花だったポルシェ「924」に似たフロントマスクを採用し、リトラクタブルヘッドライトを搭載したことで、リトラの認知向上と普及に大きく貢献しました。

 この成功により、その後登場する国産スポーツカーはこぞってリトラクタブルヘッドライトを採用。1980年代に入ると日産「パルサーエクサ」やホンダ「アコード」「クイントインテグラ」、トヨタ「カローラII」などハッチバックやセダンにも続々と採用されるほど普及しました。

 しかし、リトラクタブルヘッドライトのユニット自体の重さとモーターによるフロント部分の重量増、部品点数の多さ、北米のヘッドライトに関する規制緩和、プロジェクターやリフレクターの登場などでデザインの制約が少なくなったことから存在意義が失われ、2002年に生産終了したマツダ「RX-7」をもって、国産での採用車種が消滅しています。

 2002年で終了したことがネオクラシカルでは逆に付加価値となり、往年のスポーツカーやかつて国産車が盛り上がっていた時代を彷彿させるアイテムとして、リトラクタブルヘッドライトの人気が今になって高まっているといえそうです。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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