車の「オイル交換」なぜ必要? 変えないとヤバイ? 「高級オイル」は長持ちする? 知られざる「車の血液」の役割とメンテナンスが必要なワケ
エンジンオイルは人間でいう「血液」と同じくらい大切なものであると言われています。では交換しなかった場合はどうなるのでしょうか。また、高価な製品と安価なものではどう異なるのでしょうか。
車の「オイル交換」ってなぜ必要? そもそもオイルの役割って?
エンジンオイルはクルマのエンジンを潤滑させるなどの役割を持ち、しばしば人間でいう「血液」に例えられます。
あまりクルマに詳しくない人でも、定期的にカー用品店や整備工場へ愛車を持ち込んで「オイル交換」を依頼する人も多いでしょう。では、そんなエンジンオイルを交換しなかった場合は何が起こるのでしょうか。
エンジンオイルは、クルマの動力源であるエンジン内部に満たされているオイル(油)です。
エンジンオイルの役割として「潤滑作用」があることは比較的よく知られていますが、ほかにも6つもの役割を持っており、だからこそ定期的な交換が必要なのです。
よく知られている「潤滑作用」はピストンやクランクシャフトなどと呼ばれる、エンジン内部に用いられる多くの金属パーツの表面に油膜を作ることで、パーツ同士の摩擦を減らし、スムーズな運動を手助けします。
2つ目は「冷却作用」。常にエンジン内部は燃焼が行われ、高温にさらされますが、エンジンオイルは循環しながらその熱を吸収し放熱を行います。なお、エンジンの冷却は冷却水(クーラント)によっても行われています。
3つ目は「緩衝作用」。エンジンオイルは粘り気を持っており、クッションの役割を果たすことから、高速で動く内部パーツから発生する衝撃を吸収します。
4つ目は「防錆作用」。燃料が燃えると酸と水分が生成され、エンジン内部が腐食していきます。これに対してエンジンオイルが油膜を形成することで、空気や水分を遮断し錆から守ります。
5つ目が「密封作用」。ピストンとシリンダーの間には隙間があり、そのまま燃焼させると圧力が逃げてしまいます。その隙間に粘性を持ったエンジンオイルが浸透し塞いで密封することで、燃焼時の圧力を動力として伝達します。
6つ目が「洗浄作用」。金属パーツ同士の摩耗による金属粉や、不完全燃焼によって生じるカーボンやスラッジ(燃えカス)などをエンジンオイルが取り込み、オイルエレメント(オイルフィルター)まで運んで濾過することで、汚れが堆積することを防ぎます。
そして、7つ目が「中和作用」です。燃焼によって窒素酸化物などの強い酸性物質が発生し、水蒸気と混じることで酸性の液体となります。エンジンオイルの油膜により直接酸性物質がエンジン内部に触れないようにするとともに、オイル内に取り込むことで中和する作用も持っています。
このように、エンジンオイルは7つもの作用を担うことで、高温かつ高速、大パワーで動くエンジンをスムーズに動かすことを支えています。
では、交換しなかった場合はどのような影響が及ぶのでしょうか。自動車整備士は以下のように説明します。
「交換しなければエンジンオイルはどんどん汚れていきます。そうするとスラッジなどがたまって摺動部の動きにスムーズさが失われると音や振動が大きくなり、燃費も悪化します。
さらに、油膜が切れてしまえば摩擦が大きくなるため内部パーツが損傷し、最悪の場合は焼き付きというものを起こし、エンジンブローを招きます」
エンジンオイルを交換しないままクルマを使い続けると、その影響は徐々に蓄積されていき、最終的にはエンジンの深刻な故障を招くようです。
そのため、定期的なエンジンオイルの交換が必要となります。
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