え!? ウォッシャー液が「手動」!? 海外では「足踏み式」も! 意外と知らない「ウィンドウウォッシャー」の歴史
日本車では「手動式」も!? 近年ではさらに進化したウィンドウウォッシャーも
国産車のウィンドウウォッシャーの歴史も少し振り返ってみましょう。
1958年から生産が始まった、昭和の軽自動車を代表するスバル「360」では、そもそも1968年までウィンドウウォッシャーを持ちませんでした。
逆に言えば、その頃には軽自動車でもウィンドウウォッシャーの装備が一般的になった証しとも言えます。しかし電動ではなく、モーターなどが不要で、構造が簡単な手動式でした。
価格を抑える必要があった軽自動車の多くは、1970年代半ばまでは手動式ウィンドウウォッシャーの採用が多く見られましたが、1980年代前後から電動ウィンドウウォッシャーが普及しています。
機能性重視で装備が簡素なイメージのスズキ 初代「ジムニー」でも、1979年のSJ10-4型から電動化が行われています。
ところが、同時期に登場した初代「アルト」は、なんと手動式ウィンドウウォッシャーに逆戻り。これは、軽自動車47万円という驚異的な販売価格を実現するための、コスト削減の一環でした。
余談ですが、当時70万円ほどした軽自動車を47万円で売るための徹底ぶりは凄まじく、リアウィンドウのデフォッガー(曇り取り)や、シガーライターや助手席側の鍵穴すら省略されていたほどです。
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まだまだ寒さが続き、エリアによっては雪も降る季節です。安全運転のためには、積極的にウィンドウウォッシャーを活用しましょう。
前述したとおり、ウォッシャー液は凍らないようになっているものの、寒さや雪の多さ次第では、ウォッシャー液の希釈濃度を上げたり、冬用のウォッシャー液や解氷性能を持つウォッシャー液を使用すると、凍結の防止とともに、フロントウィンドウに付着した雪を溶かす性能をアップすることができます。
近年ではトヨタが、約50度に温めたウォッシャー液を噴射可能とした「霜取りウォッシャー」を、2020年からカローラにディーラーオプションで装備を開始しています。
タンクは保温容器になっており、エンジン停止後約12時間は効果を発揮するといいます。
またウォッシャー液を噴射するノズルは、ボンネットに置かれることが多いですが、一部の車種では、ワイパーにノズルが設けられています。
通常では、噴射されたウォッシャー液はフロントウィンドウの全域に届かないのですが、この方法なら広範囲に液剤を届けることが可能です。国産モデルでは、マツダなどで採用例が増えてきています。
ウィンドウウォッシャーはシンプルなシステムですが、このようにまだ進化の余地がありそうです。これから先、どのような機能が持たされるのかに注目です。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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