中国BYD製日野バスに「六価クロム」発覚で販売凍結!? 日本製バスにも使用の「有害物質」がEV普及に与える影響とは
日野自動車が小型EVバス「ポンチョZ EV」の販売凍結を明らかにしました。一部の部品に有害物質の「六価クロム」を使用していたことが原因だと報じられています。EV普及に向けた動きが加速する中、本件は今後どのような影響を及ぼすのでしょうか。
今春発売直前! 新型EVバス発売凍結を明らかにした日野
2023年2月16日、大型バス・トラックメーカーの日野自動車は、2021年6月に発表し、2023年春の発売を予定していた小型EVバス「ポンチョZ EV」の販売凍結を明らかにしました。
その後2月20日の報道で、ポンチョZ EVの一部の部品に「六価クロム」が使用されていたことが原因と報じられています。同車は中国・BYDが製造し、日野自動車が販売する予定でした。
有害物質の「六価クロム」は日本自動車工業会(以下、自工会)が2008年より自主規制として使用禁止(目標)を掲げており、自工会の会員である日野自動車はその規制に基づき、ポンチョZ EVの販売凍結という判断に至ったようです。
BYDは1995年、バッテリーメーカーとして広東省深セン市に誕生しました。
その後、2003年からは自動車部門「BYD汽車」をスタートさせ、ガソリン車のみならず、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)の製造・販売を手掛けていきます。
2022年にはPHEV、EV、FCV(燃料電池車)を合計した電動車の販売台数で全世界1位を達成したメーカーでもあります。
日本では2015年に京都府のバス会社「プリンセスライン」へ電気バスを5台納入したことを皮切りに、EV事業を本格的にスタート。
納入案件は年々増えていき、現在までに日本全国のバス事業者に対して約80台以上のEVバスを納入してきました。
また、2022年には日本の乗用車市場へ参入することも発表し、第1弾のSUV「ATTO 3(アットスリー)」は2023年1月より販売されています。
そのような中、BYDは2023年2月23日に本件に関する声明を発表しました。
六価クロムは安価で高耐久、自己修復性にも優れていますが「製造時」や「廃棄時」の段階において、人体に対する健康被害が確認されています。
また、高濃度の六価クロムは土壌汚染や地下水汚染も引き起こすことで知られています。
1970年代には化学メーカー「日本化学工業」施設跡地の汚染発覚を契機に、同社が約52万トンのクロム鉱さい(六価クロムを含む廃棄物)を周囲に投棄していたことが判明。
また、当時の従業員の間でも健康被害が認められ、日本化学工業は土地と従業員両方に対する賠償を行うこととなりました。
一方で「製品使用段階」における六価クロムの健康被害は限られており、通常の使用範囲内であれば人体への影響は認められません。
六価クロムは主にボルトやナット類の表面処理に使用され、今回の一件でもそれらがポンチョZ EVや、日本で販売しているEVバスに使用されていたとBYDは説明しています。
日本でも、六価クロムを使用する金属部品は人体に無害な「三価クロメート」などの「六価クロムフリー」素材への置き換えが進んでいる状況です。
多くの皆さんが、6価クロムについて認識が無さすぎます。自動車や家電などの部品は20年ぐらい前からメーカーの自主規制で6価クロムを不使用としてきました。これは欧州のローズ規制によるもので、当時、欧州によるSonyいじめで話題となりました。しかし、危険と言いながら、建築分野などでは今も、ほとんど6価クロムのボルトやナットが使用されています。通販の組立家具の金具やネジもほとんど6価クロムのメッキです。あなたの半径1メートル以内に必ず6価クロムを含有した金属部品があるはずです。よって大騒ぎをする必要は無いのです。