中国BYD製日野バスに「六価クロム」発覚で販売凍結!? 日本製バスにも使用の「有害物質」がEV普及に与える影響とは

「六価クロム」は国産「三菱ふそう」製バスでも使用例あり

 日本では六価クロムを明確に禁止する法律が存在しないため、六価クロムについては各々の企業や業界団体が対応を定めています。

 自動車分野では自工会が「鉛」「水銀」「カドミウム」「六価クロム」の4つの重金属を削減する自主的な目標を掲げており、そのうち、六価クロムに関しては2008年以降使用禁止(目標)としてきました。

 それが功を奏し、2020年には「新型車の全モデルで六価クロムの使用廃止」という実績を達成しました。

国産EVバスの導入が進まない中で、中国・BYD製バスは国内で続々と採用例が増えています[写真は平和交通バス(千葉市)のBYD「K8」/撮影:加藤ヒロト]
国産EVバスの導入が進まない中で、中国・BYD製バスは国内で続々と採用例が増えています[写真は平和交通バス(千葉市)のBYD「K8」/撮影:加藤ヒロト]

 一方で、これは「新型車」に対するものなので、目標発表以前より「継続的に生産」している一部車種(三菱ふそう「エアロクィーン/エアロエース」など)では、一部を三価クロムへ代替済みであるものの、わずかながら六価クロムが使用されていることがカタログにも記載されています。

 自工会による自主規制は自工会の会員、つまりは日本の自動車メーカーに対して適用されるものなので、自工会の会員でない企業ではその対応が不十分という可能性があります。

 現に、今回の一件は「自工会の会員である日野自動車」が販売することから明らかになったわけで、会員ではないBYDが今まで通り日本国内で販売する分には、自工会の自主規制は関係ない形です。

 しかし今回の件を受けてBYDは、2023年末納入予定の新型「K8」(大型EVバス)と「J6」(小型EVバス)から「日本自動車工業会の自主規制に準拠した素材で車両を製造し、販売」としています。

 つまりはこれらのモデルから、段階的に六価クロムを用いた部品を完全に廃止していく形になります。

 また、六価クロムの悪影響は廃棄時における懸念事項となりますが、これもBYDが指定するリサイクル事業者を通じて六価クロムの無害化処理を行う上で処分するため、環境への影響も生じないとしています。

※ ※ ※

 今回、六価クロム使用の報道を受け、西武バスは2023年2月22日に予定していたEVバス K8の納入お披露目会を突如として中止しました。

 また、小型EVバス J6を4台採用する京阪バスも使用を一時見合わせ、兵庫県の伊丹市交通局はBYD製ではないものの、同じく中国「アルファバス」製のEVバスを使用しており、安全確認のために3月から予定していた運行を延期しました。

 この一件の影響かどうかは不明ですが、西武バスと同じくK8を運用している阪急バスも、K8の投入路線で従来のディーゼルバスが代わりに運行していることが確認されています(2023年2月23日現在)。

 すでに納入されている車両について、BYDは「お客様(バス事業者)および関係する方々のご不安を解消できるよう、お客様と協議の上、当該部品の切替対応をさせて頂きます」としています。

 また、販売を開始したEV乗用車についてもBYD本社と連携し、六価クロムが使用されていないかの調査を進めていくとのことです。

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1件のコメント

  1. 多くの皆さんが、6価クロムについて認識が無さすぎます。自動車や家電などの部品は20年ぐらい前からメーカーの自主規制で6価クロムを不使用としてきました。これは欧州のローズ規制によるもので、当時、欧州によるSonyいじめで話題となりました。しかし、危険と言いながら、建築分野などでは今も、ほとんど6価クロムのボルトやナットが使用されています。通販の組立家具の金具やネジもほとんど6価クロムのメッキです。あなたの半径1メートル以内に必ず6価クロムを含有した金属部品があるはずです。よって大騒ぎをする必要は無いのです。

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