「自動車アセスメント」なぜ必要? 「税金の無駄」とは二度と言えない、その役割

「自動車アセスメント」がユーザーにとって重要なワケ

「型式認証」のテストは最低ラインをクリアすれば、あとはすべて一様のものとして扱われます。どれだけ安全性能が良くても、逆にぎりぎりで合格しても、みんな一緒です。となれば当然、コストをかけて安全性能を高める努力はしなくなるもの。海外で「自動車アセスメント」のような制度がない国では、同制度の「衝突安全性能評価」において星ゼロ(最高は星5つ)に相当するクルマが平気で販売されています。

 逆に「自動車アセスメント」同様の、いわゆる「NCAP制度」が導入された国では、自動社メーカーは競うようにクルマの安全性能を高めています。実際に日本でも、「自動車アセスメント」の成績は年々、良くなっています。それもこれも、自動車メーカーの顔色をうかがう必要のない独自性を持った第三者機関が、厳正なテストを行ってくれているからです。

 ちなみに欧州には「ユーロNCAP」と呼ばれる制度があり、アメリカには運輸省道路交通安全局による「NHTSA」と保険業界がバックについた「IIHS」、中国には「CNCAP」といったように、世界各地に同様の制度が存在します。また、新たにNCAP制度を導入しようという国をサポートする「グローバルNCAP」という組織も活動しています。ユーザーを守るために、NCAP制度は世界中で求められているのです。

 かつて、前政権時代に行われた「事業仕分け」において、「自動車アセスメント」が「税金の無駄遣い」とやり玉に挙げられたことがあります。人々のためにクルマの安全性を高めるための制度であることが、もっと世間に浸透していれば、そんな声が出ることもなかったのではないでしょうか。

 クルマを購入するときはぜひとも、ユーザーに有用な情報として「自動車アセスメント」のチェックをおすすめしたいと思います。

【了】
提供:乗りものニュース

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