「1馬力」ってどれくらい? クルマのパワーを表す単位になぜ“馬”が使われる?

なぜディーゼルエンジンはトルクが太くてもスピードが出にくい?

 馬力とトルクなどの関係を理解すると、別の疑問も出てきます。それが「ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりスピードが出にくい」ということです。I氏に説明してもらいました。

「先述したように、トルクはタイヤを回転させる力で、馬力はトルク×エンジン回転数です。

 ディーゼルエンジンは実用性を考慮した結果、比較的低回転で『最大トルク』を発揮する構造になっています。エンジンを高回転まで回してもトルクは太くならないので、回転数の頭打ちとともに出力が上がりません。

 それに対してガソリンエンジンは最大トルクを得られる回転数がディーゼルよりも高く設定され、高回転まで回るように設計されているのです。

 結果として高い回転数で回転数が高めのトルク=高出力になる、ということで、それだけスピードが出やすい特性になるわけです。

 ディーゼルエンジンは重い物を運ぶときに必要な車軸を回す力=トルクは必要でも、一定以上の速さを必要としないトラックやバスなどに搭載されることが多く、回転させるトルクより、高出力で速さが求められるスポーツカーなどはガソリンエンジンが多かったわけです。

 ただし今後は、ガソリンエンジン以上に加速性能が優れるモーター搭載の、スポーツEVが増える可能性は多いにありそうです」(整備士専門学校の講師 I氏)

ディーゼルハイブリッドを搭載するマツダ新型「CX-60」
ディーゼルハイブリッドを搭載するマツダ新型「CX-60」

 この理論でいえば、最強なのがEVに搭載されるモーターです。なにせ回転しはじめた直後の低回転で最大トルクを発揮でき、さらにエンジン以上の高回転まで回せるので、高出力やスピードが出しやすいということになります。

「モーターを高回転で回すにはそれだけの電力を消費します。だからこそ各メーカーがバッテリーの蓄電や出力向上を日々開発し続けているわけです。

 現に加速性能だけならポルシェやフェラーリより、EVのテスラのほうが速いといわれているくらいですから。

 あとはそのクルマがどんなジャンルなのか、どんな性能を求めるかによってモーターの特性も変わってくるでしょう」(整備士専門学校の講師 I氏)

※ ※ ※

 人間でも瞬間的には1馬力以上は出せることもありますが、それを継続させるのは困難です。そう考えると最高出力64馬力に自主規制されている軽自動車でさえ、すごいパワーを生み出していることがわかります。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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