大雪時の「安心感」ハンパない!? 冬こそ履くべき「冬タイヤ」の実力は? 北国で人気「BLIZZAK VRX3」を北海道で試す!
輸入車ではブリザックの性能は変わるのか?
一方でドイツ車の2台は、トヨタの2台に比べてステアリングレスポンスがいくぶん高いように感じられました。
これはクルマだけの違いではなさそうだと思ってタイヤを確認すると、ハリアーは225/65R17サイズのところ、GLCとQ5の235/55R19サイズはストレートグルーブ(縦溝)が1本多いことが判明しました。これによりエッジ効果が増して横方向の応答性が高まったものと考えられます。
4台の中で印象的だったのはQ5の走りです。さすがアウディ4WDシステム「quattro」は、こうしたシチュエーションでも抜群のトラクションとハンドリングを発揮して、積極的に姿勢をコントロールして楽しく走ることができました。
余談ながら会場にはトヨタ「プリウス」と「アルファード」、スバル「レヴォーグ」、アウディ「A4」も用意されていて、そちらにも試乗することができたのですが、プリウスが望外にマッチングがよかったこともお伝えしておきましょう。
スタッドレスタイヤにもいろいろな性格の製品があり、同じブリヂストンの中にも、SUV向けとして「DM-V3」もラインアップされていて、重複するサイズもあるのですが、DM-V3はより車両重量や重心高やタイヤ径といったSUVの車両特性を考慮して設計されています。
それゆえ舗装路や雪上での操縦安定性を重視する方にとっては好みが分かれそうなところではありますが、VRX3 SUVが優れているのは、とにかく氷上性能です。
まさに「ダントツ」という言葉がピッタリの本当に驚きのアイス性能を実現しています。より多くの人にとって不安のない安全な冬道でのドライブを提供してくれることでしょう。
写真の路面状況ですと、言っちゃ悪いですがブリヂストンやヨコハマといったメジャーメーカーのタイヤでなくともオールシーズンタイヤでもそこそこ走れますね。
テスト走行するのであれば極低温の地域だけではなく、実生活で遭遇する様々な路面で試験して欲しい。
日本海側の豪雪地帯(日中の寒暖の差が大きく湿った雪/踏み固められやすく白い氷になる/滑りやすい溶けかかった圧雪/通勤帰宅時に厄介なそろばん道路/路肩が傾斜して横滑りし易い/氷の轍だらけ)
奥羽山脈の豪雪地帯(青森県酸ヶ湯。1時間に20cmくらい平気で積もる除雪の追い付かないような地帯での深雪をチェーン無しの4WDで難なく走行できるか)
太平洋側内陸部の圧雪(八幡平市~滝沢市付近。おそらく豪雪地帯の非ではない怖さを誇るカーリング場並の摩擦係数が低いアイスバーン。発進しても空転。スピード出せない。すぐ止まれない。ブレーキ踏むと傾斜方向に斜めに滑っていく。)
太平洋側北部沿岸のブラックアイスバーン(濡れているように見えて薄い氷の膜で凍っているが、表面がタイヤの摩擦/熱で溶けやすく滑り安さではダントツ。ハンドル切っても真っ直ぐ進む)
この記事の北海道の旭川のような極低温地帯(パウダースノー/マイナス30度まで下がる/踏み固められても表面が剥離/砕けやすい圧雪路面)
特に雪が多い割に昼夜で±5~10度の寒暖差がある地域では、踏み固められる→溶ける→凍って圧雪が氷になる→表面が溶けた氷→チェーンで凸凹になる。しかも轍の深さが10cmを超えることもザラにある。接地面積が30%以下で滑りやすいため4WDでも真っ直ぐに走れない。
というような雪が多い割に半端に気温が上下する地方では、除雪で路肩に寄せられた雪で道路が狭くなり、路肩が高く、センターライン付近は低いというような断面がすり鉢状になるため、横滑りによりすれ違い時の接触事故が多く、平面の路面に合わせたタイヤの設計では対応できない道路状況が日常的に発生する。
更に、除雪が追いつかないため、融雪剤を中途半端なタイミングで撒くと、ザラメ(砂糖)状態ならまだしも片栗粉のような状態になり、ハンドルを取られやすく危険。前後のタイヤが左右に振られやすい。
他には真横から強烈な地吹雪を受けつつ、防風柵(防雪柵)の切れ目で急に横から押されるとか、横方向の滑りにも強いタイヤが欲しいと思うこともあり。
真冬も含めて年中、東北~新潟付近まで彼方此方行く身としては、タイヤの性能試験って平面の滑りやすい道路での走行テストが中心で、プロドライバーでも嫌がるような劣悪な立体的雪道には応えてもらっていないような気がします。
もう、こうなると、バギー用のゴツゴツしたタイヤで出っ張りにサイプが入ったタイヤでも無ければスタック必至ですね。去年の年末の記録的な大雪からもうすぐ1年。これからまた大雪の予報が出ていますし、もう少し深雪でも走れるタイヤの登場を期待します。