欧米向け「カローラ」が日本仕様と「違って見える」のはなぜ!? 国内向けが専用設計となった特別な理由とは
トヨタの世界戦略モデル「カローラ」は、日本仕様と、欧米などで売られるモデルのデザインが細部で異なります。国内向けが専用設計となった特別な理由について解説します。
国内向け「カローラ」は世界にはない「特別な仕様」だった!?
トヨタのグローバルモデル「カローラ」は、2022年10月3日に国内向けモデルの一部改良を実施しました。
ほぼ同じタイミングで欧米など海外向けモデルも相次いで改良版が発表されましたが、外観のデザインなどが大きく異なっています。どうして違うのでしょうか。
初代モデルが1966年に誕生して以来、世界150以上の国と地域で累計5000万台以上が販売されてきたトヨタの世界戦略モデルのカローラは、年を重ねていくごとに、国や地域に応じた多彩な仕様が設定されるようになりました。
そんななか、2019年にデビューした12代目となる現行型カローラは、世界共通のグローバルモデルとして、新世代のTNGA(Toyota New Global Architecture) GA-Cプラットフォームをベースに、いちから開発されています。
現行型カローラ セダン(北米仕様)のボディサイズは次のとおり。
全長182.3インチ(約4630mm)×全幅70.1インチ(約1781mm)×全高56.5インチ(1435mm)、ホイールベース106.3インチ(約2700mm)です。
北米仕様も10月18日に一部改良を実施し、車体前後のデザインなどをマイナーチェンジしました。
フロントまわりは、日本仕様とグリルまわりの形状などが大きく異なりシャープな印象にリフレッシュされ、ワイドなフェンダーの形状などと相まって、よりスポーティでスタイリッシュな姿に映ります。
なお欧州仕様なども、ほぼ共通のデザインにマイナーチェンジしています。
対する日本仕様の12代目カローラ セダンは、グローバルモデルをベースにしながら、全体にコンパクトにまとめられ、全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm、ホイールベース2640mmに抑えられています。
欧米仕様に比べ、フェンダーまわりなどが異なって見えるのは気のせいではなく、実際に形状から異なっています。
日本仕様がコンパクトなのは、先代モデルにあたる11代目「カローラ アクシオ」が日本独自の仕様だったことと関係しています。
カローラ アクシオのボディサイズは、全長4400mm×全幅1695mm×全高1460mm、ホイールベース2600mmで、国内の5ナンバー規格に収まるコンパクトな寸法に収められていました。
これがフルモデルチェンジで前出のグローバルモデルに切り替わるとなると、全長で230mm、車幅で85mm以上の大幅な拡大となってしまいます。
そこでトヨタは、新プラットフォームや基本的なデザインコンセプトは世界共通としながら、国内専用に全長、全幅、ホイールベースを縮小したのです。
さらにドアミラーの形状や取り付け位置、ドアの開口角度を工夫し、ミラー格納時の車幅やドアの開け幅を、従来型のカローラ アクシオと同等にしたうえ、さらに最小回転半径も同等とするなど、スペックだけではなく、実際の使い勝手に至るまで細部まで気配りしています。
日本向けのカローラは世界向けモデルとは異なる、贅沢な「特別仕様車」だったというわけです。
このきめ細かな配慮の積み重ねが、カローラが国内でも長年に渡り支持を集め続けてきた理由といえるでしょう。
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ここまで気を配ったうえで、トヨタではさらに慎重な姿勢をみせています。
先代カローラ アクシオと、ワゴン版の「カローラ フィールダー」を、2019年の12代目発表後も継続販売したのです。
グレード展開などは縮小されていますが、2022年現在もその販売は続き、5ナンバーというパッケージングにこだわるユーザーの希望にもしっかりと応えています。
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