なぜトヨタ「プリウス」のマフラー盗難相次ぐ? 被害100件で県警が注意喚起も! 世界的に被害増加の理由とは
コロナ禍で触媒に使われる金属が爆上がり!? 日本だけじゃない触媒盗難事情とは
マフラーを盗む目的はマフラーに装着されている触媒(排出ガスをきれいにして外に出すための装置)に使われている貴金属が関わっています。
触媒コンバータにはプラチナ、パラジウム、ロジウムなどの貴金属でコーティングされたハニカムが含まれており、排出ガス内の有害成分をろ過する効果があります。
触媒盗難は昔からありましたが、とくにコロナ禍以降、これらの貴金属が急騰し合わせて盗難も急増しているようです。
全米保険犯罪局 (NICB)では次のように述べています。
「COVID-19のパンデミックにより鉱山での金属生産が大幅に減りました。
鉱山の労働者が減りサプライチェーンが途絶えたため、触媒に使われる貴金属の採掘と生産のコストが大幅に増加したのです」
その結果、2020年3月時点からロジウムの価格が200%上昇するという記録的な高値になり、触媒盗難が急増しているのです。
ところで、触媒を盗まれるとクルマはどうなるのでしょうか。実際に触媒盗難の被害にあったアメリカ在住の知人に聞いてみました。
知人のクルマの触媒は、2022年11月にロサンゼルス・ガーデナのホテル駐車場でわずか数分の間に盗難されました。
盗難被害に遭ったクルマは、トヨタ「タンドラ」です。
このタンドラはハイブリッド車ではありません。盗まれたクルマのオーナーは盗難被害の後も含めて次のように話しています。
「盗難後は、いわゆる直管状態です。サイレンサーはその後ろなので、爆音になります。
このまま走るのは違法となりますので、現在は応急処置を施しています。
短期間にうちのタンドラ、友達のホンダ『エレメント』、会社の隣のペンキ屋のトラックも外に停めておいたら夜のうちにやられました。
タンドラは触媒とO2センサーで約2500ドル(34万円)の被害です。
保険で補償されますが、納期が1年以上かかるとのことです。
トヨタUSAに触媒のオーダーを入れたとき、その時点でカリフォルニア州全体のバックオーダーが3000個だったそうです。
いかに多くが盗まれているかがわかりました」
※ ※ ※
最後に海外を含め、各地の警察から出ている「触媒を盗まれないためのアドバイス」をまとめました。
・屋根付きのガレージ内に駐車する。
・片側のタイヤを歩道に乗り上げた状態で駐車しない(地面との間に隙間ができて窃盗犯がマフラーにアクセスしやすくなるため)
・ハイブリッド車以外も盗まれる可能性があるので注意。とくにSUVなど車高の高いクルマは車両下部に潜っての作業がしやすい。
なお、触媒が盗まれてもぱっと見の外観に変化はないので気づきにくく発見が遅れる場合があります。
とくに屋外駐車場に停めている場合は1日1回はクルマの様子を確認することを推奨します。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
車その物ではなく、マフラーを盗む理由はマフラーの触媒に白金などの高価な金属が使われて居るからではあるまいか。それにしてもジャッキで作業空間を広げなければ取り外しが出来ないだろう。人目に付かず短時間で作業する為にはガレージジャッキ等を用意して急いでしないと目撃される。
整備工場なら堂々と上げれるからね