トラック・バスの後退時警報「ピーピー音」新たな音に変更か? 2023年1月以降導入を検討 どんな音色になる?
新しい後退音ってどんな音?
では、新しい音とは一体どのような音なのでしょうか。
定義された後退時警報は大きく3つの音のタイプがあります。
1つ目は、すでに普及している、単一の周波数で「ピーピーピー」と聞こえるもの。2つめは、いわゆるホワイトノイズと呼ばれるような、少し掠れたような音ですが周囲にはしっかりと聞こえる音。
3つ目が、ホワイトノイズに三分の一オクターブバンドのバンドパスフィルタをかけたような音です。
文字で表現すると分かりにくいですが、実際に聞いてみると少し掠れたような音がリズミカルに鳴るイメージです。
音量については、ローレベル、ノーマルレベル、ハイレベルとしていますが、手動調整式や周囲の音に応じて自動的に音量を調整するタイプなどが考慮されています。
また、日本特有の後退時警報として「バックします」といった音声通知をするものがありますが、欧州ではさまざまな言語が使われているなかでトラックが移動することを理由に、国連規則としては採用されませんでした。
日本国内での音声式の後退時警報については今後、関係各位での議論がおこなわれることになるでしょう。
こうした後退時警報では、機器自体、また車両に装着した状態のそれぞれで国連規則としての試験法が決まりました。
装着する車両は、総重量3.5トンを超えるカテゴリーとしています。
国連での何度かの議論の結果、2022年6月に開催されたWP29で、トラック・バスの後退時警報に関する国連規則案を承認。
今後、「国連の車両・装置等の型式認定相互承認協定(いわゆる1958年協定)」の加盟国で全体の5分の1以上が反対しない限り、2023年1月に国連規則として発行されることになります。
これを受けて、日本では具体的にどのようにして、新しい音の後退時警報装置を導入するのかの議論に移ります。
新車は販売時に装着を義務化するのか、また既販車については後付け機器の装着を義務化するのか、そして既存の音の装置の取扱いはどうするのかなど、道路運送車両法のあり方の議論やトラック・バス業界との意見調整など、実用化に向けては様々なステップを踏む必要があると思われます。
そのため、国連規則の発行が予定通り2023年1月になっても、日本の街中でトラック・バスの新しい後退時警報を一般の人が耳にするのは、もう少し先になるかもしれません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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