国内シェア2位から5位転落 それでも「日産」に復活の兆し!? 成長のカギは「新型セレナ」と「EV」にアリ
新型車投入が続き好転の兆しも 飛躍のカギは「セレナ」と「EV」
日産ではセダンやコンパクトカーを中心に車種が減り、売れ筋車種も限られています。それでも軽自動車のデイズが2019年、ルークスは2020年に新しくなり、現行ノートは2020年、ノートオーラも2021年に投入されて好調です。
2022年中にフルモデルチェンジが見込まれる新型セレナも、豊富な乗り替え需要に支えられ、受注台数を伸ばすでしょう。
今の日産は、新型エクストレイルを含めても少数精鋭ですが、国内販売が好転する兆しも見えてきました。
今後の日産の課題は電気自動車です。半導体を始めとする各種の供給が滞り、厳しい状態にあります。
それでもサクラが実現した軽自動車のサイズと電気自動車は親和性が高いものです。
軽自動車にはセカンドカーのニーズが多く、長距離移動にはファーストカーを使うため、「1回の充電で走行できる距離が短い」という批判を受けにくいです。そうなると電気自動車には、軽自動車のサイズが最適です。
また電気自動車のコンセンプトはエコロジーですから、その世界観に基づけば、長距離移動にはエネルギー効率の優れた公共交通機関を使います。
電気自動車は地域内の移動手段に相応しく、その意味でも軽自動車サイズは適性が優れています。
少なくとも日本では、サクラは電気自動車の本質を突いた商品ですから、納車が順調におこなわれれば売れ行きを伸ばせる可能性があります。
その一方で、補助金は時間が経過すると減額されるため、車両価格を抑える必要も生じます。
今後は納期を含めて電気自動車に力を入れ、商品の充実を図ることが大切でしょう。
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最近ではトヨタ「シエンタ」などのコンパクトミニバンや、「ルーミー」といったコンパクトハイトワゴンの人気が高まっています。
しかし今の日産の事情を考えると、補完できる新規の車種数を一気に増やすことなど無理な相談でしょう。
そこで、開発や生産のコストを抑えられる既存車種の有効活用が重要になります。
例えばセレナの内装に撥水処理などを施し、外装をSUV風に仕立てたクロスオーバーモデルを追加したり、エクストレイルにスポーティなハイウェイスターやNISMOを設定するなど、工夫の手段はあるはずです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
今まで国内市場を軽視してきた分、これから頑張らないとな