わずか3分でクルマが盗まれる!? 車両盗難の手口が巧妙化! 愛車を守る効果的な対策はある?
減少傾向にあるものの、それでもまだ車両盗難が多発しています。愛車が盗難被害にあわないためにはどうすれば良いのでしょうか。
巧妙化する車両盗難の手口とは?
日本国内におけるクルマの盗難は年々減少しており、2003年の6万2673件に対し、2021年は5182件(ともに警察庁発表による自動車盗難の認知件数)と12分の1以下になっています。
それでも1日あたり14台以上が盗まれている計算で、誰もがいつ車両盗難の被害者になってもおかしくない状況といえるでしょう。

2021年の統計によると、車両盗難がもっとも多い場所は「一般住宅」となっており、時間帯は人目の少ない深夜で、朝起きたらクルマがなかったというケースが多いそうです。
愛車が盗まれて悲しい思いをしないためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか。まずはどんな盗難方法があるのか確認してみましょう。
車両盗難といえば「物理的にウインドウやキーシリンダーを破壊(あるいはピッキング)して侵入し、配線を直結して……」というのが王道でした。
「でした」と過去形なのは、1990年代後半からのクルマには対策が施されているため、単に直結してもエンジンはかからないようになっているからです。
現代のクルマでは警告音が鳴り響くクルマもあり、かつてのように簡単には盗めなくなっています。
2000年代中盤以降のクルマには、電子的なキー照合による盗難防止システム「イモビライザー」が装着されようになりました。
これはキーに埋め込まれたICチップと車体側のコンピュータのIDコードが一致していないとエンジンがかからない仕組み。直結はもちろんキーの複製を利用した盗難防止に有効とされています。
しかしながら敵もさるもの、車体側に登録されたIDコードをリセットする「イモビカッター」なる装置を利用した盗難が発生するようになったのです。
近年増えているのが、スマートキーの特性を利用した「リレーアタック」という手口です。
スマートキーは常に微弱な電波を発しているのですが、特殊な機器を使ってその電波を増幅。クルマの電波受信機能に、あたかもキーがそこにあるかのように錯覚させて開錠&エンジン始動するというもの。
電波の届く距離は限られているため、複数人で中継(リレー)する必要があることからリレーアタックと呼ばれています。
また、スマートキーとクルマで送受信する電波からキーの情報を特殊な装置で読み込み、スペアキーとしてクルマに認識させる手口が「コードグラバー」です。
リレーアタックよりもさらに新手の盗難方法で、キーを持ったドライバーがクルマから降り自動的に施錠されるときなどに複製し、ドライバーがクルマから離れたすきに、ひとりで、しかも短時間で盗めてしまうのが特徴です。
さらに、近年のクルマはあらゆる部分がコンピュータで制御され、車体の各所にセンサーがあり配線が張り巡らされています。それを故障の診断に利用するのが「OBD」で、現在は各メーカー間に最低限の統一性を持たせた「OBD II」へと進化しています。
このネットワークを逆に悪用したのが「CANインベーダー」と呼ばれる最新の盗難方法です。
車両制御の通信ネットワーク「CANバス」に侵入することからCANインベーダーと命名されたこの手口は、車体のあちこちを通るCAN配線に機器を割り込ませてコンピュータをハッキング。
施錠はもちろんイモビライザーなどのセキュリティも無効化されるため、常習犯の手にかかればものの3分で盗めてしまうとされており、ニュースでもたびたび取り上げられるほど現在被害が増加中です。
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ほかにも、ガソリンスタンドやコンビニなどでドライバーがキーを付けたままクルマを降りた瞬間に乗り込んで逃走する、レッカーやクレーンで釣りあげて盗むなど、盗難の手法は枚挙にいとまがありません。
いいかえれば、それだけ盗難被害にあう可能性があるということで、いかに盗難防止の対策が必要になっているかがわかります。

















