新型車の「ドヤ顔化」「オラ顔化」が止まらない!? 大型グリルブームが続く2つの理由とは

クルマのフロントグリルまわりが年々巨大化しています。「ドヤ顔」などとも呼ばれるその傾向はどうして起きているのでしょう。自動車メーカーの現役デザイナーのコメントも交えながら考察します。

バブル絶頂期でも巨大グリルのクルマはごく限られた存在だった

 クルマの印象を決める要素のひとつが、フロントのデザインです。しかし最近では、それを構成するグリルが次第に大きくなる傾向があり、顔全体がグリルのような「ドヤ顔」のクルマが増えてきました。
 
 ではなぜ「顔の巨大化」が進んでいるのでしょうか。その理由を探ります。

大胆なデザインで話題を呼ぶBMWの最新SUV「XM」の「キドニーグリル」
大胆なデザインで話題を呼ぶBMWの最新SUV「XM」の「キドニーグリル」

 前方にエンジンを置き、後輪を駆動する自動車の一般的なレイアウトは、1891年にフランスのパナール(パナール・ルヴァッソール社)が発明した「システム・パナール」がその発祥です。

 その後1898年に、エンジンを液体で冷却するためのラジエーターが初めて前方に設置され、それ以降、水冷式の多くのクルマが、車体前方にラジエーターを保護するグリルを設けるようになりました。

 やがてグリルはメーカーごとに独自のデザインを持つようになり、車種やメーカーのアイデンティティを示すデザインアイコンとして発展していきました。

 現在は技術の進歩もあり、実際には、エンジンを冷やすために必要な開口部のサイズは最小限でも十分。しかも、車体前方下部から吸気ができれば、グリルは不要でさえあるのです。

 それでも今なお、しっかりとデザインが施されたグリルは、むしろ商品性を高めるパーツとして重要なアイテムに。プレミアムな価値を求められる車種では、依然としてメッキを用いてきらびやかに仕立てられています。

 かつて、大きくて押しの強いグリルを持つことは、高級車やハイエンドに位置するクルマの証でした。

 国産車に例を取ると、バブル景気も華やかな1980年代末のトヨタでは、角型ヘッドライト上端の高さを超えるような立派なグリルを持つのは、8代目「クラウン」、初代「セルシオ」、初代「センチュリー」程度。

 それ以外では、例えば「ハイソカー」と知られ爆発的なヒット作となった5代目、6代目「マークII」さえも、グリルはメッキが施されているのみで、押しの強さはありません。

 また、国産車随一の高級パーソナルクーペであった2代目「ソアラ」に至っては、ヘッドライトのほうが大きく、グリルはかなり小さめ。

 現代の「巨大な顔」を代表するミニバン「アルファード」の前身といえる「ハイエース」の乗用高級仕様でも、現在の基準で見るとグリルは控えめ(それでも当時は押しが強い前面デザイン)でした。

 しかし最近のクルマでは、カスタム系の軽自動車、エアロ系のミニバン、高級SUVやセダンを中心に、正面から見ると「まるでグリルが走ってくる」ような巨大で派手なグリルを持つクルマが増えています。

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