新型車の「ドヤ顔化」「オラ顔化」が止まらない!? 大型グリルブームが続く2つの理由とは
きっかけはアウディから! ブランド力の強化がグリルを巨大化させた
近年におけるグリル大型化の傾向が始まったのは、2005年に登場した3代目「アウディA6」からと言われています。
この代のA6では、それまでバンパー(もしくはナンバープレート部)の上下に分けて設けられていたグリルを視覚的にひとまとめにした「シングルフレームグリル」を採用していました。
顔の巨大化のこれまでとこれからについて、別の国産メーカーに勤めるカーデザイナー B氏は、バンパーの歴史を交えて以下のように語りました。
「黎明期から1950年代の自動車は、バンパーが無いか、あるいは有っても装着位置が低かったこと、フロントフェンダーが独立していたことから、ラジエーターグリルは上下に長かったのです。
その後1960年代に入りグリルの造形は自由になり、横長のタイプも増加しました。
さらに1974年に『5マイルバンパー規制』(※編集部注:低速で衝撃を吸収できる大型バンパーの義務化)がアメリカで制定されて巨大なフロントバンパーの装着が必要となり、それを避けるためグリルの横長化が進みました。
その後は角型ヘッドライトの流行で、それに合わせてグリルもさらに薄くなっていきました。
2005年にアウディ A6がバンパーを跨いで上下に長いグリルを採用したのは、縦長グリルへの原点回帰という意味もあったのでしょう。この手法は爆発的なトレンドとなりました。
そしてブランディングと紐づけられ、各メーカーともに独自のデザインを主張するようになり、更に大きく目立つように、と巨大化がエスカレートしています。
その一方で、ラジエターが不要なBEV(電気自動車)の新興ブランドは、むしろグリルの存在感を消す事でオリジナリティをアピールするようになり、2極化が進みつつあります。
既存メーカーもBEVが主力となっていく中で、今後ふたつの勢力がどのようにフロントエンドを扱っていくのかも、大変興味深いテーマです」
つまり既存の自動車メーカーにとって、後発の新興EVメーカーに対抗する意味でも、ブランド力の強化とそれにともなうグリルの巨大化は避けられなかったという視点です。
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