トヨタ新型「クラウン ターボ」が凄い! 大変革「クロスオーバー」の大本命! 走り特化「2.4Lターボ」を最速試乗!
「電気モーター」を上手く活かした走りの新型「クラウン ターボ」とは
つまり、トヨタ車共通の味である「Confident(安心)& Natural(自然)」はデュアルブーストハイブリッドでも全くブレていないことが解ってもらえるでしょう。
乗り心地は2.5リッター+THSIIよりも若干引き締められていますが、入力の優しさや乗員へのショックの伝わり方の少なさなどから、体感的にはむしろ快適で動的質感も高いと感じました。
一番の要因は新摺動構造採用のAVSとしなやかさを持たせたアルミホイールですが、筆者はこれらにより21インチタイヤのたわみをより活用できたセットが実現しやすかったのだろうと分析しています。
ブレーキは電動油圧ブレーキがアキュムレーター式からオンデマンド式に変更された回生協調ブレーキで、それを微塵も感じさせないフィーリングながらも、2.5リッター+THSIIと比べると、若干タッチが硬め、ストロークが短めに感じました。
これは仕様なのか、それとも個体差なのか、少々気になるところです。
この走りを体感して、2021年12月におこなわれた「トヨタBEVに関する説明会」の質疑応答で、筆者の質問に対する豊田章男社長の回答の一節を思いだしました。
「電気モーターを活かして四駆のプラットフォームを1つ作れば、制御如何でFFにもFRにもできます。
そんな制御を持ってすれば、モリゾウでもどんなサーキット、どんなラリーコースでも安全に速く走ることができます」
このときはBEV(電気自動車)の話でしたが、これをハイブリッドに置き換えたのが、このデュアルブーストハイブリッドというわけです。
筆者はこれまで先代(15代目)の基本素性の良さを活かした精度感の高いハンドリングを高く評価していましたが、16代目は「電気モーター」と「制御」を上手に活用したことで、それに負けない走りが実現できています。
※ ※ ※
16代目クラウンとしての方向性は全モデル共通ですが、デュアルブーストハイブリッドはパワートレイン/フットワーク共に新時代のスポーテセダンにふさわしい「爽快」なモデルに仕上がっています。
ゆったり・のんびり走るなら「癒し系」の2.5リッター+THSIIの19インチタイヤ仕様もお勧めですが、個人的には16代目の本命はやはりコイツだと思っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。