小型ミニバンどっちがイイ? トヨタ新型「シエンタ」登場で浮き彫りになったホンダ「フリード」の良さ
フリードが新型シエンタよりも優れているところは?
新車の納期の遅延が深刻化している現在、早くクルマを手に入れるためにフリードを選ぶ人もいるでしょう。商品力を総合的に判断すれば、設計の新しいシエンタが優れていますが、フリードは古くても良いところはあるのです。
そこで新型シエンタよりもフリードのほうが優れている部分を挙げてみます。
●ミニバンらしいボディスタイル
外観は見た人の印象によって評価が異なりますが、新型シエンタに比べると、フリードのほうが典型的なミニバンスタイルと受け取るユーザーは多いようです。
これまでの販売推移を振り返っても、2017年の売れ行きはフリードが多く、2018年と2019年はシエンタが上まわりましたが、その後の2020年と2021年はフリードが抜き返しました。
この販売推移には、デザインも大きく関係しています。そのため新型シエンタの外観も現行型になってミニバンらしさを強め、フリードに近づいたような印象を受けます。
●2列目にキャプテンシートを設定
新型シエンタの2列目シートは、5人乗り、7人乗りともに、すべてベンチタイプです。その点でフリードには、7人乗りに加えて、2列目がセパレートタイプになる6人乗りも用意されています。
セパレートタイプの2列目は、背もたれの両側にアームレストが備わり、豪華なのでキャプテンシートとも呼ばれます。
2列目がセパレートタイプになる6人乗りの価格は、一般的にはベンチシートの7人乗りに比べて高くなりますが、フリードは逆です。
6人乗りが7人乗りよりも2万2000円ほど安く設定され、この価格も含めて、キャプテンシートの採用は新型シエンタでは得られないフリードのメリットです。
●3列目シートの足元空間が広い
身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1つ分に調節すると、シエンタの3列目に座る乗員の膝先には、握りコブシ0.5個分の余裕ができます。
一方、フリードの3列目の膝先空間はさらに広く、握りコブシが2つ収まります。
その代わり床と座面の間隔は、フリードが新型シエンタに比べて40mm少ないです。従ってフリードの3列目に座ると、膝の持ち上がる窮屈な姿勢になりやすいですが、足元空間の広さを競えばフリードが広いです。
●3列目のシートを格納する時の操作性
新型シエンタは3列目のシートを2列目の下側に格納できますが、操作は少し面倒。2列目を持ち上げて3列目を格納させ、その後で2列目を元の位置に戻す必要があるからです。
その点でフリードの3列目は左右に跳ね上げる方式なので、格納操作が単純で扱いやすいです。
●4気筒エンジンの自然な音質
新型シエンタのパワーユニットは、ガソリン車、ハイブリッド車ともに、1.5リッター直列3気筒です。
遮音を入念におこなってノイズは小さく抑えましたが、不意にアクセルペダルを踏み増した時など、3気筒特有の粗い音が聞こえることがあります。
ノイズを全般的に小さく抑えた結果、それまではあまり聞こえなかった音が耳障りに感じることもあるのです。たとえば、昼間は気にならなかった時計の音が、夜中に大きく感じるのと同様の理由です。
その点でフリードは、直列4気筒エンジンを搭載しています。ノイズは小さくありませんが、特定の音が耳障りに感じることもなく、自然に感じられるでしょう。
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ミニバンのデザインや機能を個別に見ると、フリードのほうが優れた部分もあります。前述の通り納期も異なるため、両車を比較して、好みや使い方に合った車種を選ぶと良いでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
あれ、渡辺さん…ベストカーでは度々「フリードは2023年にフルモデルチェンジする」って断言していたのにどうした?
スクープの精度については致し方ないとして・・・
単純に変わったのかもしれませんし。
他所の話だが小鮒康一氏の話にはこういうところが欠如している。曰く実際に使った感覚、乗った感覚、エンジン音などの体験したであろう物から比較して伝えるってところが。ここの編集部と同レベルの記事書いてどうする。お目こぼし失礼。