「ブレーキが効かない!?」 静岡の大型観光バス横転事故 考えられるふたつの原因とは
ドライバーの「体調不良」は考えにくい?
まずは、大きくふたつの可能性が考えられます。
ひとつは、運転ミス。もうひとつは、車両の故障です。
![日野自動車が実用化させたドライバー異常時対応システム「EDSS」[写真は路線バスの乗客が使用できる非常ブレーキスイッチを作動した際の「赤色フラッシャー」点灯イメージ]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2023/08/20220823_hino_blueribbon_EDSS_013.jpg?v=1661236713)
運転ミスについては、運行会社によればツアー実施当日朝の時点でバスドライバーに体調に問題ないといいます。
バスドライバーは26歳とのことなので、運転経験の面ではベテランとはいえませんが、これまで事故を起こした経験はないようです。
ただし、今回のルートを走行するのは初めてだと説明しています。
こうした情報から、本来はエンジンブレーキを主体として使い、十分に速度が落ちた状態でフットブレーキを併用するべきであるも関わらず、そうした「基本的な運転操作ができていなかったのではないか?」と推測する事故分析専門家が多いのです。
現地でテレビの取材を受けた地元のバスドライバーは、事故があった路線は十分にエンジンブレーキを使わないと「ブレーキが焼けるから注意が必要だ」という認識を示しています。
また事故当時の気象状況では、路面は滑りやすかったというほどでもないようです。
では、事故の直前にバスドライバーが急に体調不良になり、適格な運転操作ができなかった可能性についてはどうでしょうか?
このことについて、事故分析専門家の多くが、事故後のバスのフロントタイヤが大きく右に切られた状態なので、「少なくともハンドル操作は行っていたはず」と指摘しています。
また、前述のようにバスドライバーは事故直前に、搭乗員に対して「ブレーキが効かない」とバスの異常を口頭で伝えているのですから、少なくともバスドライバーの意識はあり、運転操作をなんとか続行しようとしていた可能性があります。
こうした各種情報から、バスドライバーがフットブレーキを多用するというこの道路ではおこなうべきではない操作によってフェード現象が起こり、事故が起こった右カーブの手前でブレーキが効かず、法面(のりめん)に乗り上げた、という推測に結びつくのです。
なお一部報道では、コーナーの旋回中にコーナーを「曲がり切れず」といった説明をしていましたが、現場に残されたタイヤ痕(こん)を見る限り、バスは法面に対して斜め方向からまっすぐ突っ込んだ可能性が考えられます。
そのためフロントガラスが大きく破損しているのではないでしょうか。
通常、コーナーを曲がり切れず横転した場合、フロントガラスの損傷はそれほど大きくないはずです。
タイヤ痕は当初、ブレーキ痕ではなく、右にハンドルを切った状態でコーナーに突っ込んだ際にできた可能性が報道されていましたが、14日午後の一部報道では、警察関係者の声としてブレーキ痕があり、ブレーキはかかっていた可能性を指摘しているようです。


















