「パドルシフト」ってホントに必要? ATなのにわざわざ変速したくない!「幽霊装備」と化した理由とは
パドルシフトの上手な使い方
せっかくのATやCVTの便利さ(走り出せばシフトチェンジの必要がない)がありながら、パドルシフトでMT感覚を味わえるようにしているのは、「運転する楽しさ」を体験できる方法のひとつという側面があるからでしょう。
では、パドルシフトはどのような場面で活用すべきなのでしょうか。
アマチュアレースに参戦した経験を持つ都内中古車販売店のD氏は、山道や峠道はもちろん、首都高でも大いに活用すべきだと話します。

「ATベースでもパドルシフトとMTモードを上手に活用すると、山道などのアップダウンが激しくカーブの多い道ではよりスポーティにキビキビとした走りが楽しめます。
たとえば漫然とアクセルを踏んでキックダウンで上り坂を登るのではなく、パドルシフトでギアを落とすことでよりスムーズに力強い駆動力を得られますし、下り坂でもエンジンブレーキを活用しながら安全かつスポーティに走行できます」
実は東京の首都高速道路もかなり曲がりくねっており、かつアップダウンも激しく、任意にギアを選んで適度にエンジンブレーキを活用すると、安定して走らせることができるのだそうです。
「また、これから冬にかけては路面の凍結などの心配もあり、たとえば下り坂のコーナーでは不用意なブレーキングはスリップを誘発します。
そこでパドルシフトを使ってギアを落として走行することで適度なエンジンブレーキとトラクションをかけることができますので、むしろ積極的に使っていただいたほうが良いと思います」(アマチュアレース参戦経歴のあるD氏)
ただしMT感覚で楽しく走れる代わりに、パドルシフトを使った走行はエンジン回転数が高めになる傾向が強まって燃費が悪化することもあり、必要なシーンで適切に使うのが良いでしょう。
もうひとつ、中古車のパドルシフト操作に関しては注意が必要だといいます。とくにDCT搭載車に関しては、発進時や後進時にちょっとしたコツがあるのだそうです。
「DCTに関しては、半クラッチ状態をコンピュータが自動制御している関係で、発進時にごく僅かなタイムラグが発生します。これを待たずにいきなりアクセルを強く踏み込む操作を繰り返していると、故障する可能性もあります。
この特有のクセを知らずに、国産車で主流のAT車の感覚で乗ってしまうオーナーさんが多いようです。
DCTの場合、シフトパドルを操作するのもタイムラグ後に動き出してからの操作をするよう心がければ故障のリスクも減らせます」
スズキが開発し「アルト」などに搭載している「AGS(オートギアシフト)」も似たような性質を持っているので、急発進はご注意ください。
※ ※ ※
パドルシフトを活用してMTモードを上手に使いこなせば、ミニバンでもいつもよりメリハリのある運転が楽しめそうです。
とくに下り坂ではパドルシフトを使ってエンジンブレーキを活用することでフットブレーキの使用回数を少し減らすこともでき、より安全に走行できるでしょう。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

























