「パドルシフト」ってホントに必要? ATなのにわざわざ変速したくない!「幽霊装備」と化した理由とは
シフトチェンジが必要のないCVTやATなどでもMT感覚が味わえる「パドルシフト」。しかし実際は、ほとんど使われていないのが現状のようです。
2ペダルなのに、わざわざギア操作する意味ある?
AT車全盛の現在、「パドルシフト」は軽自動車にも採用されるなど、クルマの装備としてすっかり定着しました。
パドルシフトはシフトチェンジが必要のないCVTやATなどでもMT感覚を楽しむことができるものですが、実際はほとんど使われていない“幽霊装備”になっているようです。

一般的にはアクセルとブレーキのみの2ペダル車に搭載される「MTモード」を操作するためにパドルシフトが使われます。ステアリングの後方に装備された専用のセレクタースイッチは、船を漕ぐパドルのような形状からこの名前が付けられました。
その歴史は意外に古く、1980年代後半あたりにF1の「(スクーデリア)フェラーリ」が開発したセミAT用のギアチェンジ用装置として誕生したのが最初とされており、主にスポーツ走行時にステアリングから手を離す必要がない状態でシフトチェンジできるのがメリットです。
このパドルシフトが組み合わせられるトランスミッション(変速機)には、通常のトルクコンバーター式のAT、無段階変速のCVT、2つのクラッチを搭載し自動制御してくれるDCTなどがあります。
なかでももっとも普及しているのがATとCVTとの組み合わせで、プログラムによって擬似的なギア変速が可能ですが、その一方でいつ使うのかの判断が難しいところ。
本当に加速が必要なときは、強めにアクセルペダルを踏むと自動でギアが下がる「キックダウン」をATがしてくれますし、車速を落とすにはブレーキで調整できてしまいます。
せっかく付いているパドルシフトですが、使う機会がない装置のひとつとまでいわれてしまっているようです。
ちなみにDCTは「デュアル・クラッチ・トランスミッション」の略で、奇数のギア用と偶数のギア用に2つの自動制御式クラッチを搭載。
国産車では日産「GT-R」やホンダ「NSX」などのスーパースポーツのほか、ホンダ「フィット」の3代目にも採用されました。
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では、実際のユーザーはどれくらいの頻度でパドルシフトを使用しているのでしょうか。
「最初は興味半分で何度か使ってみましたが、想像していたよりエンジンブレーキなどがかからず、気が付いたら使わなくなっていました」(東京都・Nさん 30代男性)や、「エンジン回転数ばかり上がって燃費が悪化した気がするので、使うのをやめちゃいました」(神奈川県・Yさん 40代男性)といった意見が。
また「そもそもMTモードにするメリットがよくわからなくて、ATしか運転していないし普通に動いてくれればいいです」(埼玉県・Kさん 20代女性)のように、MTモード自体の使い方に興味がない人もいるようです。
なかでも多かったのが「そもそもシフト操作をしないで済むATなのに、わざわざギアを選ぶのが面倒」(栃木県・Tさん 40代男性)といった、ギア選択が面倒くさいという意見。
とくに、ミニバンや軽ハイトワゴンのユーザーは、パドルシフトはほとんど使わないという人がほとんどでした。
一方で、スポーツ走行や微妙なエンジンブレーキなどが欲しい場合は積極的に使う方もいらっしゃいましたが、むしろ肯定的な意見は少数派だったのが印象的でした。

























