無理に進入しちゃダメ! 遮断機の棒をへし折って億単位の弁償も!? 踏切事故時に取るべき行動とは
撤去作業の規模で弁償額が変わる!?
普通車よりも商用車(トラック)によって遮断棒が破損されることが多いようですが、遮断棒の破損はともかく、そのあとの対応で弁償額が大きく変わってくきます。
目の前に踏切がある整備工場に勤めるT整備士によると、踏切に強引に進入したトラックの荷台部分に遮断棒が引っかかり、破損させる場面を年に数回は目撃するとのこと。さらにそういった場合、そのまま走り去ってしまうことが多いのだそうです。
「商用車が時間に追われて先を急ぐ気持ちはわかりますが、故意ではなかったにせよ破損させた事実は変わりません。
先日も遮断棒をへし折ってトラックが踏切内に入ってしまい、折れた遮断棒が踏切内を向いていたため、作業員が複数、警察車両、交通整理のための人員まで派遣され、列車も運転見合わせしていました」
現在では多くのクルマにドライブレコーダーが搭載され、街中にも防犯カメラが増えており、警察の捜査などでかなりの確率で車両を特定することが可能です。
遮断棒の破損が発覚して出頭命令が出てしまうと、今度は当て逃げなどの罪状も加わり、気が付かなかっただけでは済まなくなってしまうでしょう。
意図的でなくても遮断棒を破損させてしまった場合に気になるのは弁償額です。いったいどれくらいの金額が必要になるのでしょうか。再び元教官に話を聞いてみました。
「遮断棒が折れてしまっても、列車が問題なく運行できれば弁償は少額で済みます。鉄道事業者にとっては列車のダイヤが乱されることがなければ、それほど大きな問題にならないと思います。
一方、折れた遮断棒が踏切内に残ったりして遮断機まで破損してしまい、これにより列車が緊急停車し、撤去に作業員が出動して列車のダイヤ調整や振り替え輸送で使用するバスの手配などが加わってしまうと、数十万円から億単位の賠償になる可能性もあります」
幸いにも列車のダイヤを乱すことなく遮断棒だけの破損で済めば、数万円もかからない事例もあるのに対し、たかが遮断棒の破損と甘く見ていると1億円を超えるような弁償請求がおこなわれた事例も実際にあるのだそうです。
「大型トラックの運転席は、遮断棒の接触や破損程度では衝撃はほとんど感じないため、気付かずに走行してしまうのでしょう。
ただ、事故後に鉄道事業者への報告を怠ったり、被害が遮断棒だけなのか、それとも遮断機本体に及ぶのか、運行ダイヤに影響があるのかで、行政処分や補償額が大きく変わってくると思われます」(教習所元教官)
ちなみに巨額の損害賠償は任意保険の「対人対物」が無制限であればカバーされるそうですが、これも直後に連絡をするかしないかが大きな分かれ目になります。
やはりすぐに対処し、その後速やかに関係各社へ連絡するべきです。
「列車の運行を妨げてしまうと、個人では賄いきれない損害になってしまいますので、やはりしっかりした補償の任意保険への加入と、踏切では一時停車をして安全が確認できてから渡るという当たり前の行動が必要だといえます」(教習所元教官)
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踏切は事故が起きやすい箇所でもあります。遮断機が作動し始めたら無理に横断せずに列車の通過を待ちましょう。
最近のクルマは遮音性が高く、窓を閉めていると周囲の音が聞こえづらくなっています。
教習所で習ったように、踏切の警報が鳴っていないか、目視だけでなく少し窓を開けて聴覚でも安全を確認するのが良いでしょう。
この記事には、重要な記載が抜けています。
踏切支障には道路交通法違反より重い、列車往来妨害に問われる場合があるという事。
道路交通法違反だけでは、「そのぐらい」という甘い考えを持つ人間が必ず発生しますよ。
JR貨物(日本貨物鉄道株式会社)曰く。列車と事故るくらいならバーくらいへし折ってOK。乗用車くらいなら折れずに曲がるものもある。
実際に、冬になると踏切でスタックするなんてことはあるんですよ。特にトラックだと。
カーブで傾斜つき。踏切が谷に。逆に踏切が山になっているところも。過去の踏切のバー損傷では、請求されたこともあるし、無かったこともある。保線区の違いにも依るんだろうけど。請求金額はバーだけだったので十数万円だったかと。