長時間働くのに「稼げない…」は本当? 慢性化する「トラック運転手」不足! 労働環境は今後改善するのか
慢性化する労働環境の悪化…トラック運送業界の今後は?
今でも賃金や労働時間の面において決して満足のいくものではないといえるのが実情ですが、今後のトラック運転手の働き方はどうなるのでしょうか。
前出の担当者は、今後のトラック運転手について、以下のように話します。
「全日本トラック協会では、2018年に『働き方改革関連法』が成立したことを受け、トラック業界に向ける働き方を改めて見直す計画を策定しました。
そこで2024年に実施される『時間外労働の上限規制』をうけ、トラック運転手における労働時間の減少に努めていきたいと考えています。
今後、さまざまな法令改正を受けたうえで、標準的な労働賃金や労働時間に変更していくためにも、トラック運転手や事業者に対して、情報提供や周知活動を積極的に進めていきたいと考えております」
2018年に成立した働き方改革関連法では「残業時間の上限は月45時間、年360時間とし、臨時的な特別な事情があった場合でも、年720時間以内・複数月平均80時間以内・月100時間未満を超えることはできない」といった、時間外労働の上限規制が施行されています。
運転業務においては、一般則の施行日の5年後となる、2024年4月から月960時間以内とする上限規制が適用されることとなっています。
この働き方改革を受けて全日本トラック協会では「トラック運送業界の働き方改革に実現に向けたアクションプラン」を策定。
「長時間労働の是正」として、長すぎる労働時間や過労死防止対策をとることや「労働状況・職場環境の改善」や「適正賃金・料金の収受」など、トラック運転手の労働状況を改善するための対策を掲げています。
そのほかにも、2017年に国土交通省による「標準貨物自動車運送約款」が改正されたり、2018年に「貨物自動車運送事業法」が改正されるなど、トラック運転手の働き方を改革するさまざまな対策が取られています。
日常生活でほとんどの人が利用したことがあるであろう「宅配便」もトラック運転手がいてこそのサービスです。
宅配サービスを利用する側も、事前にきちんと配達時間を把握し、「再配達の手間を取らせない」といった配慮をおこなう必要があります。
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近年では、新型コロナウイルスの影響などにより「Amazon」をはじめとするインターネットショッピングサービスの需要が高まっています。
その一方で、トラック運転手は慢性的に不足しており、現状における年齢階級別就業者の構成比は、50代以上が約45%と半数を占めている一方で30代以下は約24%と、非常に少ない割合となっています。
このように、40歳以上の男性への依存が強い傾向があるトラック運転手ですが、高まる需要に対応するためには、若年層や女性も含めた労働力が必要です。