「交通違反だ、出頭しろ!」“ニセ警官”事件発生! 男が突きつけたのは「偽物の警察手帳 !? “警察官のコスプレ”や“車両のカスタマイズ”はどこからが「違法」なのか

栃木県警は2026年2月18日、前方のクルマのドライバーに偽物の警察手帳を見せて「交通違反だ。警察に出頭しろ」などと注意した男について、偽造公記号使用の疑いで書類送検しました。一体どのような事案だったのでしょうか。

警察コスプレや車両カスタムの“法的境界線”は?

 栃木県警宇都宮南署は2026年2月18日、宇都宮市に住む61歳の会社員の男を偽造公記号使用の疑いで宇都宮地検に書類送検しました。

 偽造公記号使用とは刑法第166条第2項に規定する罪で、警察や消防、市役所といった公務所の記号(印章やマークなど)を偽造して使用することをいいます。

 男は今年1月26日、宇都宮市内の道路上において、自分のクルマの前方に入り込んだクルマのドライバー(80代男性)に対し、「交通違反だ。警察に出頭しろ」などと注意しながら、偽造した警察手帳を見せた疑いが持たれています。

 男はその直後に現場から立ち去ったものの、同日、注意された男性が宇都宮南署に赴いたことから、男の犯行が発覚しました。男性のクルマのドライブレコーダー映像などから、男の特定に至ったということです。

 警察によると、今回使用された偽物の警察手帳は男が10年ほど前にインターネットで購入したもので、男の顔写真と本名が記載されていました。

 警察の調べに対し男は、「手帳は好奇心から購入し、使用するのは今回が初めてだった。手帳を見せた方が注意するのに効果的だと思った」などと話し、容疑を認めています。

 県警では今回の事案を受け、「警察手帳を見せられて怪しいと感じたら、所属する警察署や氏名を聞いたうえで該当する警察署に電話して確認してほしい」などと呼びかけました。

ニセ警官に要注意!(画像はイメージ、mits/PIXTA)
ニセ警官に要注意!(画像はイメージ、mits/PIXTA)

 実は同様の事案はたびたび発生しており、2025年1月には警察官を装って偽物の警察手帳を使ったとして、京都府警が京都市に住む17歳の少年を偽造公記号使用の疑いで書類送検しています。

 少年は2024年9月、京都市内の公園にいた複数の若者に対して偽物の警察手帳を示したということで、犯行動機について「警察官に憧れていた。刑事として職務質問をしたかった」などと話しました。手帳は東京都内のグッズショップで購入し、自身の顔写真を貼っていたということです。

 なお警察手帳に限らず、警察官の制服によく似た服を着て行動することや、警察車両に似せたクルマ・バイクなどを使用することなども法令違反に当たるおそれがあるため、気をつけなければなりません。

 たとえば警察官と見間違われるような精巧な制服を着用して行動していた場合、軽犯罪法第1条15号に抵触し、拘留または科料という罰則を科される可能性があります。

 さらにクルマやバイクに「警視庁」や「〇〇県警」「POLICE」など警察のロゴを表記したうえで走行する行為は偽造公記号使用に該当するおそれがあるほか、一般車両に赤色灯を設置して走行すると道路運送車両法違反に当たります。

 都道府県によっては道路交通規則で緊急自動車と間違えるような灯火やサイレン音を出すことが禁止されているケースもあり、これに違反すると道路交通法第71条第6号の「公安委員会遵守事項違反」で検挙される可能性もあります。

 これらに関しては以前、青色ジャージに白色ヘルメット、黒色ブーツを着用して大型バイクに乗車する「白バイコスプレおじさん」も話題になりました。

 上記の服装自体に問題はないと考えられますが、警察官の記章を付けていたり、バイクに警察のロゴが入っていたりすると、違法となるおそれがあります。

 またクルマをパトカーのように白黒ラッピングすること自体は禁止されていないものの、ロゴや赤色灯、サイレンなどに関するルールが定められていることから、車両のカスタマイズには注意が必要です。

※ ※ ※

 今回の事案で押収された偽物の警察手帳の画像を筆者(元警察官)も確認しましたが、実物と非常に似せて作られており、一般の人が偽物と見破るのは難しいと感じました。

 最近では、犯人が制服を着て警察官になりすまし、ビデオ通話でお金を振り込ませるといった詐欺の手口も流行しています。金銭の要求はもちろんですが、少しでも不自然な言動があれば、警察署に問い合わせるなどして確認すべきといえるでしょう。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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