1980年代に大ヒット「デジタルメーター」 未来を感じさせた“右肩上がり”の回転計はなぜ廃れた!?

クルマのアナログメーターがデジタル化したのは1980年代からでした。いま見るとサイバー感がたまりませんが、1990年代には姿を消してしまいました。その理由を探ります。

1980年代初頭から流行!様々な車種に採用されたデジタルメーター

 1980年代前半に登場したデジタルメーター。先進的・未来的なデザインや、それまでの指針式メーターと異なる動きの面白さから、「デジパネ」とも呼ばれて人気を博しました
 
 しかしその後1990年代から2000年代初期まで使われた後は、一部車種の採用のみに。現在ではフル液晶によるデジタルメーターが台頭しているものの、当時流行したスタイルのメーターは見られません。
 
 ではなぜ、デジタルメーターは姿を消してしまったのでしょうか。

1980年代らしい“サイバー”感がいまとなっては新鮮に映る![写真は2代目の日産「レパード」のデジタルメーターパネル]
1980年代らしい“サイバー”感がいまとなっては新鮮に映る![写真は2代目の日産「レパード」のデジタルメーターパネル]

 日本でデジタルメーターが初めて採用されたのは、1981年の初代トヨタ「ソアラ」。「エレクトロニック・ディスプレイメーター」という名称で登場しました。

 円形のメーターが消え去ったパネルには、数字のみが表示されるスピードメーター、エンジンの回転数に合わせて右肩上がりに光の表示が増えてゆくタコメーターを設置。水温計や燃料計までデジタルのブロックが増減するという、その先進的な意匠に興奮を覚えた人は多いと思います。

 その後もデジタルメーター採用車は拡大。特にトヨタは積極的で「マークII」兄弟や「クラウン」に搭載しただけでなく「カローラ」や「コロナ」でも見られました。

 さらにはスポーツカーの「レビン/トレノ」から「セリカ」「スープラ」、1BOXワゴンの「ハイエース」までが、デジタルメーターを輝かせていたほどです。

 デジタルメーターが流行した理由は、デジタル時計やゲーム機が普及しはじめ、様々なジャンルにコンピューターが台頭して電子制御化が進んでいたという、当時の時代背景も後押ししています。

 世界初のコンピューターグラフィックスを採用した映画「トロン」なども上映され、スペイシー(宇宙的)で未来的なデザインも好まれるようになっていました。

 採用する車種が増加するにつれ、技術的な改善も進みました。

 当初は発光ダイオード式だったため、明るい時間に見にくい問題があったのですが、1982年には三菱が「トレディア/コルディア」でカラー液晶式メーターを世界初採用。その後もLED、FL管などを用いるメーターが開発され、凝ったデザインも続々と出現しました。

 中でもいすゞ「ピアッツァ」(初代)のデジタルメーターは、上下方向が高いメーターパネル内に、各種メーターや警告灯をグラフィカルに多数配置。

 日産「レパード」(2代目)のデジタルメーターも画期的で、液晶画面に3Dグラフィックのようにタコメーター・水温計・燃料計が立体的に描かれていました。

 デジタルメーターが流行したのは、「コクピット感」「SF感」の高さだけでなく、純粋に機械としての「カッコよさ」「気分の高揚感」があったからではないでしょうか。

 事実、現在でも、当時生まれていなかった世代も、これらのデジタルメーターを見ておおいに惹かれているのが、その証明かと思います。

【画像】このサイバー感!「ソアラ」「レパード」に「ピアッツア」まで…… 昭和のデジタルメーター写真を見る(52枚)

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