うっかりでは済まない! なぜ「勝手にクルマ」が動き出す!? ベテランドライバーに多い「自然発車」の原因とは
クルマから離れた後に、車体が勝手に動き出す「自然発車」がおこることがあります。近年は増加傾向にある自然発車ですが、一体、どのような状況で発生しやすいのでしょうか。
事故に繋がるケースも?注意すべき「自然発車」とは
クルマを駐車して降車したあと、勝手に車体が動いてしまうというトラブルが発生することがあります。
こうした現象は「自然発車」と呼ばれ、この現象が要因となる交通事故も報告されています。
一体、どのような状況で発生しやすいのでしょうか。
交通事故総合分析センターの「交通事故分析レポート」によると、2009年から2018年の10年間で、自然発車による交通事故が2352件発生しています。
年間にすると平均200件ほどとなり、近年では、自然発車による死亡事故が増加傾向にあります。
自然発車による10年間の交通事故の内訳は、重傷事故が387件、軽傷事故が1803件、死亡事故は162件です。
交通事故全体としての死亡事故率は0.8%となっている一方で、自然発車による交通事故では、死亡事故が約11%を占めており、その危険性がわかります。
自然発車による死亡事故では、死者の約82%が運転者自身であり、重傷事故でも約64%が運転者自身が被害者となっています。
警察関係者によると「動き出したクルマに運転者がひかれてしまう、クルマを止めようとして止めきれず電柱や壁などに挟まれてしまうといった事故の状況が多い」とのことで、痛ましい事故の様子がイメージされます。
なお、自然発車が発生した要因を見てみると、約92%が駐車する際のブレーキ操作などの誤りによるものとなり、クルマや道路環境ではなく、ドライバーの駐車方法が大きな課題といえそうです。
また、一般的な交通事故(クルマの場合)では、事故時のドライバーは20代が最多となっています。
しかし自然発車による交通事故では、事故を起こしたドライバーの年齢は60代がもっとも多く、免許取得年数で見ると10年以上経過している人が多くなっているようです。
このことから自然発車は、免許の取得年数にかかわらず“うっかり”のミスだったり、気の緩みだったりと、ドライバーの意識の低さから発生している可能性が高いことがうかがえます。
では、自然発車による事故は、具体的にどのような状況で発生しているのでしょうか。前出のレポートでは、さまざまな事故状況が報告されています。
その一例として、60代の女性ドライバーが起こしてしまったケースでは、駐車場にマニュアルの軽貨物車を駐車した際、サイドブレーキを引き忘れていたためにクルマが後方に向かって自然発車しました。
当時、女性は運転席のドアにもたれるかたちで転倒してしまい、車体が脇腹と背中に接触して怪我を負うこととなりました。
この女性ドライバーは、免許所得から30年以上クルマを運転しており、事故現場となった駐車場も仕事のためにほぼ毎日訪れる場所です。
女性はこの駐車場を平坦な場所だと思っていたそうですが、その後の計測により駐車場の勾配は0.9%と判明し、女性の認識とは異なっていることがわかりました。
これを受け、交通事故総合分析センターでは「視覚的に平坦に見えても、少なからず勾配があると考え、サイドブレーキをかけて駐車するべきだった」と指摘しています。
AT乗りに多い、Pレンジに入れるだけでサイドブレーキをかけない奴って何考えてんだろうな
やはり、常に基本を忠実に行う。横着したらいけないということですね。
MT車なら1速かRにギアを入れて駐車しないと、ブレーキペダルを踏んだだけで、エンジンキーを回してしまうと動き出してしまうこともある。