台風やゲリラ豪雨で道路が冠水! クルマで走って大丈夫? 水没被害から愛車を守る方法とは

7月から10月にかけて台風が上陸しやすく、大雨に見舞われる可能性が高そうです。クルマはどれくらいの水深まで耐えられるのでしょうか。また、冠水や浸水を避けるためには、また水没してしまったらどう対処すべきなのでしょうか。

クルマが水に浸かるとスライドドアは大人でも開けられなくなる!?

 近年、甚大な被害をもたらす大雨や台風が増えています。

 線状降水帯やゲリラ豪雨によって道路が瞬く間に冠水してしまう映像がニュースなどで、冠水した道路を無理矢理走行しているクルマを見かけますが、クルマはどれくらいの水深まで耐えられるのでしょうか。

冠水路にはまると水圧でドアが開かなくなることも
冠水路にはまると水圧でドアが開かなくなることも

 2014年にJAFは、アンダーパスでの水没をシミュレーションした「水没に関するユーザーテスト」をおこなっています。

 これは、セダン(前席ドア)とミニバン(スライドドア)を使用して、平坦な道とスロープ(5.7°)を用いて、何cmでドアが開かなくなるか実験するというもの。

 水深30cmではセダンもミニバンもドアは開けることが可能でしたが、60cm(後輪が浮いた斜めの状態)になるとセダンのヒンジ式の前席ドアとミニバンのスライドドアは、両方とも大人の力を持ってしても開けるのが不可能という結果になりました。

 計測器で測定するとヒンジ式ドアで通常の5倍以上、スライドドアに至っては重過ぎて計測不能なほどの水圧がかかっていたといい、水深60cmになるとバンパーはもちろんグリルの半分以上が水没した状態となり、エンジンも止まってしまいます。

 ガソリン車やディーゼル車の場合、マフラーに浸水してしまうとエンジン内部にも水が入り込んでストップしてしまうため、実際は水深10cm程度が限界といわれており、車高が高いと思われがちなSUVでも+10cmあるかないか程度しか耐えられません。

 冠水した道路を走行するとエンジンが停止して身動きが取れなくなってしまうほか、側溝にはまったり障害物などにぶつかってしまったりすることもあります。

 水のなかで立ち往生すると、そのうちに車内まで水が入り込み、前述のように、水圧によってドアが開かなくなってしまうことから、冠水路を走行するのは大変危険な行為だといえます。

 クルマへの浸水や冠水、水没を防ぐ有効な手段はあるのでしょうか。複数のクルマのプロに聞いてみたところ、結論は「高台(少しでも高いところ)への避難」することだといいます。

 都内の中古車販売店のオーナーN氏は、河川の氾濫による洪水を警戒してモータープールの場所を選んだそうです。

「在庫車を保管しているモータープールはあまり海抜が高くないのですが、できるだけ河川から遠い場所にしてあります。

 クルマは上からの水(降雨)には強いのですが、冠水など下からの水には弱いものです。

 大雨の予報などが出ている場合は、あらかじめ高台の駐車場などに車両を避難させるのがベストです」

 どうしても移動などが難しい場合は、止水版や土嚢(どのう)などを活用するのも手ですが、それも一時凌ぎ。

 大雨が降るときに、商業施設の大型立体駐車場といった高い位置にある駐車場が避難先として開放されることがあるので、事前に把握しておくのが良さそうです。

※ ※ ※

 やむを得ず冠水した道路を走行した場合は、そのあとの処理がクルマのコンディション維持には大事になってくるのだそうです。

「雨が止んだら早めに洗車しておきたいところですが、ポイントは下回りになります。

 というのも、道路に流れ込んだ水はいわゆる泥水で、ゴミや汚れ、細菌などが含まれた汚れた水がエンジンルームまで入り込んでいることが多いので、高圧洗浄機などで入念に下回りを洗車することをお勧めします。

 普段は自分で洗車している人も、プロに依頼するのも手だと思います」(中古車販売店オーナーN氏)

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