スバルが「凄いコト」に挑戦!? 航空機端材の再利用&レースでアイサイト開発! 「死亡交通事故ゼロ」の近道なるか

スバルは「SUBARU BRZ」をベースにしたる61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」でのスーパー耐久2022に参戦しています。第5戦もてぎでは、車両開発という名のもとに航空機のカーボン端材を再利用したことや、スーパー耐久でアイサイトを鍛えることが明らかにされました。

航空機のカーボン端材を再利用&S耐でアイサイトを鍛える? スバルの凄さとは

 2022年シーズンのスーパー耐久(S耐)にスバルは「SUBARU BRZ」をベースにした61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(以下61号車)にカーボンニュートラル燃料を用いて参戦しています。
 
 9月3日4日に開催された第5戦もてぎでは、車両開発という名のもとに航空機のカーボン端材を再利用したことや、スーパー耐久でアイサイトを鍛えることが明らかにされました。

ボンネットに航空機の端材を利用した再生カーボンパーツを使用する61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」
ボンネットに航空機の端材を利用した再生カーボンパーツを使用する61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」

 スーパー耐久に参戦している61号車のボンネットはカーボン製を使用していますが、このボンネットの誕生には、意外なことから始まったそうです。

 新型コロナウイルスの蔓延からはや2年を経過しました。

 初期の蔓延時期にワクチン接種が大変な時期があったのはもはや遠い記憶かもしれません。

 そんなワクチン接種は大企業では職域接種というのがおこなわれ、事業所ごとに接種などをおこなっていました。

 スバルも当然ながら多くの従業員をかかえている大企業のため職域接種をおこなっていました。

 しかしこの61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptを製作しているのは、群馬の工場や実験施設ではなく、栃木県佐野市にあるスバル研究実験センターで開発や試験などがおこなわれています。

 それほど多くの従業員がいる訳ではなく職域接種に困っているときに、同じ栃木県にある宇都宮製作所と一緒にワクチン接種を実施することになったそうです。

 この宇都宮製作所というのは、スバルの起源ともいえる飛行機のパーツやヘリコプターを製作している事業所で、航空宇宙カンパニーと呼ばれる事業所です。

 この航空宇宙カンパニーで製作している航空機のパーツには高精度で高品質のカーボン素材が多用されています。

 そういった背景もあり、S耐車両にカーボン製品が欲しいことを伝えると作製は可能だということがわかりましたが、航空機に使われるパーツは高精度・高品質になることもあり非常に高価になり、それではとても費用を賄えないと、一度は断念したといいます。

 その一方で、航空機のパーツを製作するのに、廃棄処分となるいわゆる端材が多くでることも判明。そこに手を差し伸べたのが、スバルの外装や内装などのサプライヤーをしている株式会社千代田製作所です。

 その端材となったカーボン素材をリサイクルして新たなカーボンパーツを作れるということになったのです。

 千代田製作所では廃棄されるプリプレグと呼ばれる炭素繊維(カーボン繊維)に樹脂を染み込ませたシートから、熱処理で樹脂を取り除いた再生炭素繊維(再生カーボン)を作り上げる製造プロセスを確立させました。

 新たなカーボン繊維を作り上げるには大きなエネルギー消費になっていまいますが、プリプレグから樹脂と繊維を分解するには約1/10のエネルギーで済むことも判明。そのことがSDG’sにも繋がることから、SDG’sステッカーを61号車に貼られています。

 カーボンはオートクレーブ成形法というのが多く聞かれる製造方法です。これは大きな釜にカットされたカーボン素材をいれて加熱と加圧をしています。専用の大きな釜や多くのエネルギーを消費します。

しかし今回はVaRTM成形法という真空補助樹脂注入方式で製作しています。加圧ではなく、大気圧と真空にしたところに樹脂を流し込む製造する方法です。このことにより製造時のCO2削減にも繋がっているといいます。

 そんな再生カーボンを使用した61号車のボンネットは、第1戦鈴鹿時点がオリジナルのアルミのままでした、

 その後、第2戦富士24時間ではアルミボンネットに樹脂ダクトを装着し、オリジナル比+0.5kg。第3戦SUGOからオールカーボン製になり第2戦より-2.0kgとなりました。

 ボンネットは再生カーボンと新品のカーボンを表面に使用し強度を補強しながら、滑らかな表面にしてているのもポイントです。

 しかし大量生産するには現在は向いておらず、レーシングカーのようなワンオフ品だから作製が可能となっているといい、今後も量産化に向けて検討していくことを引き続きおこなっていくとしています。

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