「新車が足りない!」納期遅れは一体いつまで!? 新車価格高騰の懸念も メーカーの対策とは
新車の供給不足が慢性化しています。半導体などの部品供給の遅れが尾を引いているようです。メーカーの対策や今後の見通しについて解説します。
2021年中には解消といわれていたが…慢性化する新車の供給不足に販売店も悲鳴
自動車販売店の多くが「売りたくても”タマ”がない」といいます。新車の生産が遅れ、在庫も慢性的に不足しているということです。
この問題、いったいいつになったら解消されるのでしょうか?
計画生産台数がそもそも少ない人気車種の場合、メーカーから販売店への新車の供給が需要に対して追いつかず、在庫不足で納期が遅れるということは珍しくありません。
例えば、2018年に登場したスズキの4代目「ジムニー」は、発売開始の早い段階で納車1年という状況に陥りました。
また、2021年登場のトヨタ「ランドクルーザー300」も、予約販売の時点で数年待ちを覚悟しなければならないとの情報がネット上で拡散していきました。
しかし2022年8月上旬現在、新車の納期の長期化は一部の人気車種の話ではなくなり、ほぼ全ての新車で起こっている状況です。
背景にあるのは、半導体不足とロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンや物流での混乱だといわれています。
半導体不足という言葉は、コロナ禍の初期だった2020年頃からよく聞かれるようになりました。
その理由について、自動車メーカー各社は四半期毎や年度の決算報告で「半導体を使う製品は、スマートフォン、ゲーム機器、家電、そして自動車など、世の中には数多くあるが、コロナ禍でそれら製品向けの半導体の需要と供給のバランスが大きく崩れた」という説明を繰り返してきました。
そのうえで、自動車メーカー各社は半導体不足の対策として、Tier1(ティアワン:大手自動車部品メーカー)やTier2(ティアツー:半導体を含む二次部品メーカー)などと、中長期での購買計画を修正することを挙げました。
そのなかで、部品や材料のサプライチェーンに対して、複数以上の供給相手を常に確保するなど、バックアップ体制も強化してきました。
こうした対策によって、半導体不足は2021年中には解消に向かうだろうという見方を示す自動車メーカーが多かった印象です。
半導体不足が収束すれば、自動車の製造計画は元に戻り、在庫不足や納期の長期化は解消されるはずでした。
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ところが、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が、半導体のみならず、自動車部品の製造や供給など多方面で大きな影響を与えたのです。
さらに、新型コロナウイルスの再拡大を阻止するための中国上海でのロックダウンが実行され、中国市場のみならず自動車部品のサプライチェーン全体にも少なからず影響を与えました。
自動車メーカー各社は、2021年度の決算発表時点で、ロシアのウクライナ侵攻と上海ロックダウンの影響が、2022年度の第1四半期の業績に影響を与えることを事前に説明しており、実際にそうした結果になりました。
例えば日産の場合、「2021年度第4四半期の在庫は最低水準まで落ち込み、2022年度第1四半期は、需要の拡大に対して、既存の在庫を使った販売が難しい状況だった」と説明しています。
グローバルでの小売り販売台数は、2021年第4四半期の104万8000台から、2022年度第1四半期では81万9000台への大きく落ち込んでいます。
ただし仕向け別では、日本は前年同期比0.1%であるのに対して、北米の34.8%減や欧州での25.2%減、そして中国の15.2%減となり、日本での影響はかなり少ないことが分かります。
その背景には、「ノート」「オーラ」がセグメントのシェアで17%増となったり、軽EV「サクラ」の受注が2万3000台を超えるなど、日本での人気商品に対して、サプライチェーンの混乱を最小限に食い止めようとする日産の戦略が功を奏したといえるのかもしれません。
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