「ブレーキの踏み方」なぜ男女で異なる? 女性はかかとを床につけない!? 正しいブレーキの操作方法とは
クルマのブレーキペダルを踏むとき、男性の多くがかかとを床につけたまま踏むのに対し、女性の多くがかかとをつけずに踏んでいる人が多いといいます。男女でブレーキの踏み方が異なるのはなぜなのでしょうか。
女性はかかとを床につけずにブレーキを踏みがち!?
クルマの運転で速度を上げるときはアクセルペダルを踏みますが、逆に「速度を落とす」「止まる」ときはブレーキペダルを踏みます。
そんなブレーキ操作にかかわるブレーキペダルの踏み方ですが、多くの男性ドライバーがかかとを床につけたまま踏むのに対し、女性ドライバーの場合は(床にかかとをつけずに)アクセルペダルからブレーキペダルにわざわざ足を移動させて操作している人が多いようです。
男女間でブレーキの踏み方に違いがあるのはなぜなのでしょうか。

各自動車メーカーは、男女の身長差や足、腕の長さの違いを考慮して、シートの前後スライドやシートリフター、ステアリングにはチルトやテレスコピックなど、どんな体型の人でも最適なポジションが取れるような装備を搭載しています。
しかし、現実はいくらシートの位置は可動してもペダルまで動いてくれることはありません。
とくに背が低い人は、普通に座るとインパネやダッシュボードの位置が高すぎて前が見にくく、シートリフターで座面の位置を上げると今度はアクセルやブレーキペダルまでの距離が遠くなってしまいます。
なかには、運転に適さないヒールが高い履物(サンダルやパンプスなど)を履いて運転する女性もいるといわれており、またペダルの踏み間違いによる事故の多発を受けて、教習所では「ペダルはきちんと踏み替えるべき」という教え方に変化しているそうです。
都内の教習所の元教官K氏に話を聞いてみました。
「確かに、誤作動がないように背の低い女性などには『ブレーキペダルをしっかり踏むこと』と教えていました。
女性の足のサイズが男性よりも小さいことが多く、従来のかかとを支点に踏み分けるスタイルではペダル操作がしにくいのです。
また、かかとを支点してもペダルが上手に踏み込めないこともあり、かかと支点にこだわらず、しっかりブレーキ操作をするために踏み替えを推奨したこともあります」
女性の場合はペダルまでの距離が遠く、踏み込む力が弱かったり、繊細なコントロールができずにギクシャクしたブレーキ操作になってしまうことが多いそうです。
「アクセルとブレーキはじんわり効かせるようにコントロールしましょうと説明しておりましたが、多くの教習生が気を遣いすぎて踏み始めが弱くなる傾向がありました。
その結果、静止目標までに制動力が足らず、慌てて強く踏み込むことになりがちなんです」
最近では、そんな女性特有のブレーキの踏み方を考慮して、ブレーキのフィーリングやタッチをチューニングしている新型車も増えているといいます。
たとえば日産の軽自動車「デイズ」「ルークス」のブレーキはペダルを少し寝かせて配置。ヒールの高い履物でも操作しやすいように工夫されているのだそうです。
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本当は、ブレーキペダルに合わせて右足を配置し、かかとを支点としてアクセルとブレーキを操作するほうが微妙な踏力のコントロールがしやすいのも事実です。
「ブレーキペダルにシートポジションを合わせるのは、咄嗟(とっさ)の操作でブレーキをしっかり踏めることが重要だからです。
しかし、多くのドライバーはペダルをしっかり踏み込むより、座って楽なポジションにシートをセットしがちです。
ブレーキをしっかり踏めるシートポジションにすることは、かかとを床につけずにアクセルとブレーキを踏み替えるスタイルでも同じです」(教習所元教官K氏)
正しいシート位置とは、ステアリングは肘が伸び切らない程度にとは聞きますが、それよりも、座面の位置をペダルがしっかり踏み込めるところまで前に移動させるべきだといいます。
元教官のK氏いわく、上体は多少余裕を持たせても、ペダルに合わせてシートを調整してみることをお勧めするとのことです。
「あとは、やはりヒールの高い履物は運転には適さないということを覚えておくことです。極端な厚底でなければ、ソール部分が厚いスニーカーを車内に積んでおき、運転する際に履き替えるようにすると良いでしょう」(教習所元教官K氏)

























