交換したほうがいいのはエンジンオイルだけじゃない! クルマに使われている多種多様な油脂類とは?

クルマにおいて「オイル交換」と言えば真っ先に「エンジンオイル交換」と思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしエンジンオイル以外にも、ブレーキフルードやギヤオイルなどさまざまな役割を持つ多種多様な油脂類がクルマには入っています。どのような種類があるのでしょうか。

クルマに使われているさまざまなオイル、どんな種類がある?

 クルマのメンテナンスで、「オイル交換」と言えば「エンジンオイル交換」という印象を持っている方も多いのではないでしょうか。しかしエンジンオイル以外にもブレーキフルードやギアオイルなど、さまざまな役割を持つ多種多様な油脂類がクルマには入っています。

 それぞれのオイルを定期交換していくことで乗り心地や燃費の悪化を回復させることができるなど、トラブルの未然防止につながる可能性もなります。逆に、交換を怠っていると運転中の機能不全など、安全性の低下に繋がる場合もあります。

エンジンオイル系に異常がある場合に点灯する油圧警告灯(画像はイメージ)
エンジンオイル系に異常がある場合に点灯する油圧警告灯(画像はイメージ)

 実際クルマにはどのような油脂類が使用されているのでしょうか。代表的なものをいくつか紹介します。

 まずは前文でも触れた「エンジンオイル」です。エンジンはシリンダの中にあるピストンが往復運動(上下や斜め、水平など)をして動力を発生させますが、摩擦による抵抗や発熱も発生します。エンジンオイルにはその潤滑や冷却の役割を果たしエンジンを保護する役割があります。

 エンジンを冷却するための機構に使用されるのが「クーラント(冷却水・LCC)」です。エンジン内部より発した熱をクーラント液が吸収し車の前部に設置された熱交換器(ラジエーター)で冷やされ、再びエンジンに戻ってエンジンを冷却します。冷却のみであれば真水が一番効率的ですが、防錆能力や寒冷地での対凍結性も求められるのでクーラントが必要になります。

 ブレーキ機構には、ブレーキフルード(ブレーキオイル)というオイルが使われています。車検時などで交換をすすめられたことのあるユーザーもいるかも知れません。クルマは軽い個体でも1トン近くはある鉄の塊。そのような重量物を止めるために油圧システムの力を使いますが、その圧力を発生させる機構に組み込まれているのがブレーキフルードです。

 エンジンの力を伝えるトランスミッションにもオイルが封入されています。トランスミッションには多数のギアが組み合わさって回転するためエンジンオイル同様に潤滑のための油脂が必要です。

 ギア式のオートマチックトランスミッション(有段式)で使用されるオイルが「ATF(オートマチックトランスミッションフルード)」です。オートマチックトランスミッションの変速機内に入っており、劣化が進むとシフトショックが増大するなど、乗り心地に影響が出る可能性があります。

 デュアルクラッチタイプのトランスミッション(DCT)であれば「DCTオイル(フルード)」が使われており、ギアの保護を始め湿式クラッチであればトルク伝達能力にも影響があります。

 CVT(無段変速機)式のトランスミッションで使用されるのは「CVTオイル(フルード)」です。CVT内部のプーリーやベルトの潤滑や冷却、油圧ポンプの作動をするためのオイルになります。

 マニュアルトランスミッションを搭載したクルマに使用されるのが「マニュアルミッションオイル」です。劣化が進むとギアが入りづらくなるなど影響がでます。

 マニュアルトランスミッションを搭載したクルマには、「クラッチフルード(クラッチオイル)」もあります。オイル自体はブレーキフルードと兼用であり、劣化が酷くなるとクラッチが切れにくくなり、スムーズなシフトチェンジができず、ミッションにも負担がかかる可能性があります。

 クルマがカーブを曲がるときなどにスムーズな走行を助けてくれるデファレンシャルギア(差動装置)に使用されるオイルのことを「デファレンシャルギアオイル(デフオイル)」といいます。FF車や4WD車はミッションオイルと兼用のタイプを使用する事になります。劣化すると走行時に異音が発生する可能性があります。

 油圧式のパワーステアリング搭載車には「パワーステアリングフルード(パワステオイル)」が必要です。近年はEPSと言われる電動式パワーステアリングのクルマが増えてきたため、少なくなりましたが、ちょっと古いクルマやトラックには油圧式のパワーステアリングが採用されています。劣化が進んだ状態で熱が入ると噴き出してきてしまう可能性があります。

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