国産商用車にも電動化の波!? トヨタなど4社が大手流業各社やインフラ事業者、自治体らオールジャパン体制で挑む!

商用FCVやEVの普及に向けた取り組みがやがて乗用車にも波及効果を及ぼす!?

 そもそも現時点での技術では、EVで航続距離を伸ばそうとすると、搭載電池が大きくなって車両価格が上がるというジレンマがあります。

 一方で商用車の場合、航続距離が限定的でも運行ルートがある程度予測できて充電場所も予約しやすく、結果的に電池搭載量を減らして車両コストを抑えることが可能です。

 そうするためには、社会全体でのデータ管理が必要となるため、メーカー1社ではなく、今回の社会実装のように社会全体を俯瞰しながら事を進めることが重要であるのは当然でしょう。

トヨタの市販燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」
トヨタの市販燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」

 水素については、燃料としてのコストが未だに高いことが燃料電池車の普及が一気に進まない要因のひとつになっています。

 筆者が各所で定常的に取材してきたところ、水素ステーションについては、装置や設置のコストは7、8年前には1ケ所あたり4億円から5億円と言われていたものが、一部の規制緩和などもあり最近では2億円から3億円程度まで下がっていると言います。

 それでも、保守管理や定期点検でかなりのコストが発生していることなどから、まだ水素の価格はガソリンなどに比べるとかなり割高な状況です。

 この点について中嶋社長は「まずは、水素を使う側での需要を我々が増やしていくことで(水素の流通量を増やし)水素の価格が下がればと思う。

 保守点検などのコストも(水素の充填機会が増えれば必然的に)下がるのではないか」と答えました。

 その上で「我々として積極的に水素インフラ事業に投資するということは(現時点では)考えていない」とも指摘しています。

 いずれにしても、燃料電池大型トラックから商用軽電気自動車まで、すぐに役立つデータをしっかりと活用することで、関係する事業者にとっての利便性が上がり、様々なコストが下がっていくものと考えられます。

 こうして商用車によって電動化や水素社会に対する社会基盤が造られることが、結果として乗用車でのEV化や燃料電池化、さらに現在スーパー耐久レースなどを通じて研究開発が一気に進んでいる水素燃料車の普及につながっていく相乗効果についても、大いに期待するところです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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