マンション住まいで「EV」買える? 充電設備はどこに置く? 設置費用や電気代…クリアすべき課題とは
バッテリーEV(BEV)が次々に登場し、EV用充電設備のニーズが高まっています。戸建住宅だけでなく、マンションなどの集合住宅にも充電設備の設置が望まれますが、設置にはさまざまなハードルがありそうです。
普通充電設備の設置費用 補助金で実質30万円
このところ、さまざまなバッテリーEV(BEV)の新型車が登場し、今後さらに需要が拡大しそうなのが「EV用充電設備」です。
すでに全国の高速道路のSA/PAや道の駅、ショッピングモール、コンビニ、ホテルなどに設置が進んでいますが、普段生活している住宅地などにも充電設備の設置が急がれるところです。
とくにマンションなど集合住宅に住んでいる人にとって、敷地内の駐車場に充電設備を設置してほしいところですが、残念ながら越えるべきハードルがいくつもあって普及が遅れているのが現状です。
マンション住まいでも敷地内の駐車場にEV用充電設備の設置は可能なのでしょうか。
全国の充電スポット数は2019年度では1万8270か所(充電設備自体は約3万台)にのぼり、その数はガソリンスタンドの約6割程度まで増加。さらに新規の設置によって増え続けています。
充電スポットに設置されるEV用充電設備は主に2種類あり、30分から1時間で約80%まで充電可能な「急速充電設備」と、家庭用の100Vや200Vのコンセントにつないで充電する「普通充電設備」が存在。
ただし性能の高い急速充電設備は全体の約26%程度にとどまり、4台のうち3台は普通充電設備で、多くの戸建住宅や駐車場、マンションなどに設置されているのはこの普通充電設備がほとんどという状況です。
これには理由があって、単純に設置に関してのコストの差が非常に大きいといわれています。
設置費用の違いについて、EV用充電設備の導入・運営を手掛ける「ユアスタンド」のデニス氏に聞いてみました。
「設置コストで比べると、急速充電設備はキュービクルと呼ばれる変圧設備が必要になるため、初期設置費用は数倍から数十倍と高額になります。
国や自治体の補助金の対象ではありますが、金銭的な負担も大きいため、戸建住宅やマンション施設などへの導入は、すべて普通充電設備となっています」
また急速充電設備は出力も数十倍になるため、電気の使用料もその分跳ね上がるそうです。
充電時間の短縮、利用客の回転率の向上などを考慮する必要があるSA/PAとは違い、戸建住宅やマンションの駐車場などは急速充電する必要性が乏しく、携帯電話の充電のように多少時間がかかっても安価に充電できるほうが良いため、普通充電設備が多く選ばれているそうです
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充電設備の設置でもっとも気になるのは費用です。
「設置にかかる初期費用は、充電器の種類や台数、工事内容によって大きく異なります。
ざっくりとした予算としては、普通充電設備一式で約150万円程度かかりますが、『充電インフラ補助金』を申請すれば、実質的な負担は30万円程度になります」(ユアスタンド デニス氏)
車両価格が高いEVだけに、充電設備の設置費用はできるだけ減らしたいところですが、政府主導で始まった「2030年までに排ガス大幅削減」だけに、手厚い補助金が用意されているようです。
補助金を活用して実際の負担額が30万円程度で収まるなら、今後はさらにBEVが普及することが想定され、設置するメリットはかなりありそうです。
高さ制限に引っかかるから無理
横幅制限に引っかかるから無理
パレット上下左右に動くから無理