クルマの「ハンドル」なぜいま太く? ミニバンからスポーツカーまで持ち手が「数ミリ」変化? 時代で変わる理由とは

太さだけじゃない! 断面の形や空間によっても異なるステアリング…

 また、マツダとホンダの担当者は、ステアリングについて「『太さ』だけでなく、『断面の形状』も進化している」といいます。

 マツダの担当者は、断面の変化について「人間中心の設計をおこなったことで、ステアリングの断面の形にも工夫が加わった」として、具体的には以下のように続けます。

「断面の形としては、ステアリングを通して手から伝わってくるクルマの情報が、身体へしっかりと伝達されるように、運転の際に脇が自然と締まるような設計となっています」

 また、ホンダの担当者も、新型ステップワゴンを例に挙げ「ステアリングがやや上向きとなっているため、上部を握ったときと下部を握ったときで手首の角度差が大きくなってしまうので、手首角に合わせた断面形状を設定しています」と説明。

 握りやすさにおいては、太さだけでなく、断面の形状も重要になっており、ステアリングの設計がかなり細かい部分まで計算されていることがわかります。

初代「ロードスター(NA型)」では一部グレードにナルディ製のステアリングを採用していたが、これは標準仕様よりも細い径となっている
初代「ロードスター(NA型)」では一部グレードにナルディ製のステアリングを採用していたが、これは標準仕様よりも細い径となっている

 さらに、マツダでは「空間サイズ」も重要視されているそうで、モデルそれぞれの室内空間のサイズに合わせて、ステアリングの円の大きさである「経」の計算もおこなっているといいます。

 例えば、ロードスターのような室内空間がタイトなモデルでは、ほかのモデルに比べて、ステアリングの経が6mmほど小さくされていたり、室内空間が広めなモデルでは経はもちろん、断面の骨太感を出したりなど、トータルバランスも考慮されています。

 ちなみに、マツダの担当者は、ステアリングの設計には、以下のような時代的な背景があったことも述べています。

「ロードスターでは、初代NA型の一部グレードなどに、ナルディ製のウッドステアリングを純正採用していたこともあり、当時、ウッドステアリングには、革のグローブを使用している人も少なくありませんでした。

 革のグローブを使用する際には、ステアリングが細いほうが握りやすいという特性があったため、細めのステアリングを採用していました」

※ ※ ※

 普段の運転において、ステアリングの太さや大きさ、形状を強く意識している人はあまり多くないかもしれません。

 しかし、前述のようにステアリングはドライバーが常に触れる大切な部分です。

 クルマとの一体感や疲労軽減といったさまざまな要素により、かなり細かい部分まで綿密に設計されたパーツとなっているのです。

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