「偉い人」が座る「上座」はどの位置? 悩ましい「タクシーマナー」 重要なのは柔軟な思考?

ビジネスにおいては、タクシーを使うほうがメリットある?

 ただ、新社会人がビジネスの場においてタクシーに乗る機会というのは、実際にはそれほど多くはないかもしれません。

 新社会人に限らず、一般社員が自由にタクシーを利用することを認めている企業は少数派です。

 いうまでもなく、多くの企業がタクシーでの移動を積極的に許可しない最大の理由は、コストにあります。

 例えば、渋谷駅から東京駅まで移動する場合、JRを利用すれば片道200円で済みますが、タクシーを利用すると2500円程度は見ておかなければなりません。

 複数人で乗ればその分一人あたりのコストは軽くなりますが、それでもコスト面を考えれば、鉄道などの公共交通機関を利用するのが合理的です。

ビジネスでは「タクシー」を使ったほうが良い場合もある?
ビジネスでは「タクシー」を使ったほうが良い場合もある?

 一方、場所によってはタクシーのほうが効率的という例は少なくありません。

 例えば、渋谷から六本木へと移動する場合、鉄道では恵比寿駅を経由して約20分の時間と310円の費用がかかります。

 もし、出発地と目的地が駅からそれぞれ10分程度の場所であった場合、ドア to ドアでは40分以上かかることになります。

 しかし、タクシーを利用すると道路状況にもよりますが所要時間は約10分、料金は約1000円程度です。

 さらには、出発地から目的地までほぼダイレクトに移動できるため、トータルの所要時間は15分程度です。

 正社員の場合、会社が従業員ひとりに掛かるコストを時給換算すると、どんなに低く見積もっても1時間あたり2000円程度になります。

 そのため、40分かけて移動すると、人件費は1334円、310円の交通費と合わせて1674円のコストとなります。

 一方、タクシーを利用すれば人件費は500円、1000円のタクシー代と合わせて1500円のコストで済みます。複数名で移動すればさらにタクシーのほうが低コストになります。

 会社の第一目標が利益追求であることを考えると、このようなケースではむしろタクシーを使ったほうが会社のためになるといえます。

 加えて、タクシーのなかでは電話をしたり、簡単な打ち合わせをしたりといったことも可能です。

 もちろん、都内の地理や交通事情を理解していないと、タクシーのほうがかえって時間がかかってしまいます。

 その点では、時間を計算しやすい鉄道が有利であり、タクシーはリスクがあることには注意が必要です。

 それでも、上手に利用すればタクシーはビジネスに大きな武器になります。

※ ※ ※

 プライベートでは、終電を逃した場合や遅刻しそうな場合など「やむを得ない時」に利用するイメージが強いタクシーですが、ビジネスにおいては「タイム・イズ・マネー」を体現する非常に重要な存在です。

 このように考えると、タクシーを上手に利用できるようになることは、優れたビジネスマンの必須スキルと言えるかもしれません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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