走りが楽しいだけじゃなく維持費が安い! 特別に仕立てられた1.5リッター車3選
日本の自動車市場では自動車税の区分から、1.5リッターエンジン車が古くから人気でした。比較的安価なモデルが多く、燃費性能も優れていますが、走りに特化したモデルも存在。そこで、特別に仕立てられた魅力的な1.5リッター車を、3車種ピックアップして紹介します。
ドライビングプレジャーあふれる魅力的な1.5リッター車たち!
2000年代以降、日本で販売台数上位の常連になっているのがコンパクトカーで、なかでも1.5リッターエンジン車が各メーカーの主力となっています。
日本の税法上、1.5リッターエンジンは自動車税の区分で有利なことから、1970年代から盛んにつくられてきました。
近年は高級車やミニバンにも1.5リッターターボエンジンが搭載されるケースがありますが、比較的安価なモデルが圧倒的に多い状況です。
燃費も良く経済的に優れた1.5リッターエンジン車ですが、なかには走りに特化した魅力的モデルも存在します。
そこで、ドライビングプレジャーあふれる特別に仕立てられた1.5リッター車を、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「コルト ラリーアート バージョンR スペシャル」
三菱の現行モデルでエントリーカーとして販売されているのが6代目「ミラージュ」ですが、デビュー以前には「コルト」がエントリーカーのポジションを担っていました。
このコルトには2004年に、ホットモデルの「コルト ラリーアート バージョンR」が登場。
最高出力147馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒DOHC MIVECターボエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTとCVTを設定。足まわりとブレーキの強化とともにボディも専用にドレスアップされていました。
そして2008年4月に、コルト ラリーアート バージョンRをベースに、さらにチューニングしたモデルとして、「コルト ラリーアート バージョンR スペシャル」が限定300台で発売されました。
エンジンは後期型コルト ラリーアート バージョンRと変わらず最高出力163馬力のままでしたが、トランスミッションは5速MTのみとされ、シャシまわりを中心に手が入れられていました。
具体的には4か所のドア開口部すべてを全周にわたって手作業による「連続シーム溶接」を実施し、重量増を抑えつつもシャシの曲げ剛性(縦方向)が約10%向上。
これにより、車両のピッチングとロールが抑えられてタイヤの接地性が上がり、ステアリングレスポンスとトラクション性能が高められました。
外観ではラリーアート製のスポーツマフラーを装備し、16インチアルミホイールを専用のブラック塗装へと変更。内装ではレカロ製バケットシートを標準装備して、スポーツ走行に適したホールド性を確保していました。
コルト ラリーアート バージョンR スペシャルは好評を博し、2010年4月にも一部改良を加えた第2弾が200台限定で販売されましたが、今では中古車市場でもかなりレアなモデルです。
●日産「マーチ NISMO S」
日産を代表するエントリーカーである「マーチ」は、1982年に初代が誕生。2022年で40周年と長い歴史があり、現行モデルは2010年に登場した4代目にあたります。
そして2013年には、高性能グレードの「マーチ NISMO S」が加わりました。
NISMOシリーズといえば、同社のレース活動をサポートするNISMOとオーテックジャパン(現在、2社は日産モータースポーツ&カスタマイズへと統合)が開発を担当した特別なモデルで、マーチ NISMO Sにも大きく手が加えられていました。
エンジンはファインチューニングされた1.5リッター直列4気筒で、最高出力116馬力を発揮。トランスミッションは5速MTのみです。
また、補強パーツの追加によるシャシ剛性のアップを図るも1010kgと軽量なボディを実現し、強化された足まわりとブレーキ、電動パワーステアリングの特性も専用のセッティングとされるなど、コーナリング性能とハンドリング性能が向上。
外観では専用のカラーリングと各エアロパーツが装着され、内装ではスポーツシート、本革とアルカンターラを組み合わせた小径ハンドル、220km/hスケールのスピードメーターなどレーシーに演出。
価格(消費税込、以下同様)は187万6600円と、数少ない現役のホットハッチながら安価な設定も大いに魅力的で、1.2リッターエンジンにCVTを組み合わせた、よりライトなチューングモデルの「マーチ NISMO」も163万3500円でラインナップされています。
なお、日産はマーチのブランドページに「一部、仕様・グレード・カラーについては、生産上の都合でご用意できない場合がございます」と記しているので、詳しくは販売店に問い合わせてください。
●マツダ「ロードスター 990S」
日本を代表するオープン・ライトウエイトスポーツカーといえばマツダ「ロードスター」で、1989年に初代が誕生して以来「人馬一体」の走りを掲げ、現行モデルの4代目もコンセプトにブレがありません。
この4代目ロードスターは2021年12月に、新たな車両姿勢安定化技術の「KINEMATIC POSTURE CONTROL(キネマティック・ポスチャー・コントロール:KPC)」を採用するなど一部改良が実施され、同時に特別仕様車「ロードスター 990S」が加わりました。
ロードスター 990Sはベーシックモデルの「S」グレードをベースに仕立てられたモデルで、車名は990kgの車重に由来。車検証上の重量はSグレードと変わりませんが4代目では最軽量となっており、さらに各部がファインチューニングされています。
足まわりではRAYS製鍛造16インチアルミホイールの採用によって、1本あたり約800gの軽量化を図り、フロントブレーキはブレンボ製大径ベンチレーテッドディスク&ブレンボ製軽量対向4ピストンキャリパーを装着。リアブレーキローターも大径化され、旋回性能と制動性能を強化しつつバネ下重量を軽減。
ほかにもショックアブソーバーの減衰力とスプリングのレート、電動パワーステアリングのセッティングなどが990S専用で、最高出力132馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒エンジンのスペックは変わっていませんが、制御プログラムを軽量な990S用に改訂し、走りの質も向上しています。
また内外装の990S専用装備として、ソフトトップやエアコン吹き出し口のベゼル、ブレーキキャリパーなどに、爽快感のあるブルーのカラーが採用されました。
ロードスター 990Sの価格は289万3000円で、トランスミッションは6速MTのみです。今ではソフトトップモデルの受注台数のうち3割を占めるほど、人気グレードとなっています。
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冒頭で紹介したコルト ラリーアート バージョンR スペシャルの車名にある「ラリーアート」は、三菱のモータースポーツ活動に由来したブランドですが、2010年には実質的な活動を終え、ブランドの名を使ったグッズも2018年以降は見られなくなってしまいました。
しかし、2022年3月に同ブランドのカスタマイズパーツが発売され、復活を果たしました。
すでにタイではラリーアートの名を冠したコンプリートカーも発表されており、今後、日本での展開も大いに期待されています。
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