ファミリーカーでも熱い走りを実現! 優れた走りのミニバン3選

1990年代の中頃から日本の自動車市場ではミニバンが急激に普及し、ファミリーカーの主役へと躍り出ました。そこで、ミニバンのなかでも優れた走行性能を獲得したモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

ファミリーカーの代表であるミニバンながら走りを重視!

 日本の自動車市場では、昭和から平成の初頭にかけてファミリーカーといえばセダンでしたが、1990年代の中頃からミニバンが急速に普及し、ファミリーカーの代表的なモデルへとスイッチされました。

ファミリーカーとして開発されながらも走りの性能も重視したミニバンたち
ファミリーカーとして開発されながらも走りの性能も重視したミニバンたち

 1990年代から2000年代はミニバンブームといっても過言ではなく、さまざまなミニバンが「雨後のタケノコ」のように林立しましたが、次第に淘汰され、現在はFFのハイト系ボディで両側スライドドアのモデルがミニバンの主流となりました。

 一般的にミニバンに求められる要素としては、広い室内空間に多彩なシートアレンジ、優れたユーティリティと経済性などで、ハンドリング性能や加速性能といった走行性能は重視されていません。

 しかし、走りの面も優れたミニバンも存在。そこで、優れた走行性能を獲得したミニバンを、3車種ピックアップして紹介します。

●スバル「トラヴィック」

欧州で鍛えられスバルがブラッシュアップしたミニバンの「トラヴィック」

 現在、スバルの国内モデルには3列シート車がありませんが、かつてはワンボックスタイプの「ドミンゴ」や、ステーションワゴンタイプの「エクシーガ」などがラインナップされていました。

 また、他にも2001年に、7人乗りミニバンの「トラヴィック」が登場。

 トラヴィックは当時GMの傘下だった(現在はステランティスの傘下)オペルが開発したミニバン「ザフィーラ」のOEM車で、生産はGMのタイ工場でおこなわれた輸入車でした。

 外観は精悍な印象のフロントフェイスに、ボンネット前端を低くしてルーフ後端までラインがつながるスポーティなワンモーションのフォルムを採用。サイズは全長4315mm×全幅1740mm×全高1630mmと、日本の道路事情にもマッチしたサイズとなっていました。

 室内は3列シート車としては十分な広さで、3列目シートを2列目シートの下に格納するとフラットな広大でフラットな荷室が出現するなど、優れたユーティリティを誇りました。

 搭載されたエンジンは最高出力147馬力のGM製2.2リッター直列4気筒DOHCで、後に125馬力の1.8リッターエンジンが追加され、全グレードともトランスミッションは4速AT、駆動方式はFFの2WDのみとされました。

 そして、トラヴィック最大の特徴として走りの性能が挙げられ、欧州で鍛えられたサスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームとオーソドックスな形式ながら、スバルはトラヴィック専用に日本の道路に適したセッティングをおこない、乗車人数や荷物の積載量に関わらず、優れた乗り心地と高い操縦安定性、高速域での良好な直進安定性を実現していました。

 トラヴィックは走りの性能が高く評価されましたが、強力なライバルがひしめく国内のミニバン市場では販売は苦戦し、2005年に生産を終了しました。

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●マツダ3代目「MPV」

パワフルなターボエンジンを搭載してシャシ性能も高められた3代目「MPV 23T」

 国内メーカーのなかで、すでにミニバン市場から撤退してしまったマツダですが、かつてはマツダイズムあふれるユニークなミニバンも存在しました。

 1990年に、マツダは同社初の本格的なミニバンとして、初代「MPV」を発売。背の高いステーションワゴンをイメージさせるボディで、駆動方式はFRと、まだ過渡期のモデルといえました。

 その後、1999年にFF化した2代目が登場。さらに2006年には低いスタンスが特徴的でスポーティなフォルムとなった3代目が発売されました。

「洗練されたスタイリング」と「優れた動力性能」をコンセプトに掲げた3代目MPVは、全車2.3リッターエンジンを搭載。

 なかでも上位グレードの「23T」パワートレインは、最高出力245馬力を発揮するパワフルな2.3リッター直列4気筒直噴ターボエンジンと6速ATが組み合わされました。

 さらに足まわりはフロントがストラット、リアがマルチリンクの4輪独立懸架で、ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクが採用されるなど、高性能なエンジンにも対応したシャシ性能を誇りました。

 3代目MPVはコンセプトどおり走行性能が高く評価されましたが、2016年に生産を終了。2018年には「ビアンテ」「プレマシー」も生産を終え、マツダはミニバン市場から撤退しました。

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●ホンダ「ジェイド」

低全高による低重心化に加え旋回性能を向上するデバイスも採用された「ジェイド RS」

 ホンダは1994年に、初のミニバンである初代「オデッセイ」を発売し、さらに1996年にはハイト系ボディの初代「ステップワゴン」が登場して両車とも大ヒットを記録。そして、さらにミニバンラインナップを拡充し、2000年に初代「ストリーム」が誕生しました。

 ストリームは低全高を強調したミニバンの先駆けであり、スポーティな走りを重視したことがユーザーに受け入れられ大ヒットしました。そして2006年には2代目が登場し、2015年には実質的な後継車として「ジェイド」が発売されました。

 外観はスタイリッシュなクーペフォルムを採用したステーションワゴンタイプのミニバンで、当初は6人乗り3列シート車のみの展開でした。

 ボディサイズは全長4650mm×全幅1775mm×全高1530mmと、3列シート車では特筆すべき全高の低さです。

 この低全高の効果は機械式立体駐車場に対応するだけでなく低重心化も実現し、フロントがストラット、リアがダブルウイッシュボーンのサスペンションと相まって、優れたハンドリング性能を獲得。

 搭載されたパワーユニットは当初1.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドのみでしたが、発売から3か月後には最高出力150馬力を誇る1.5リッター直列4気筒ターボを搭載する、高性能な「RS」グレードが設定されました。

 RSはパワフルなだけでなく剛性アップされたボディと、専用セッティングのサスペンションを採用。

 さらに、ドライバーのハンドル操作に応じて、前輪に軽いブレーキがかかることで車両の動きを滑らかにし、安定感のあるコーナリングを可能とする「アジャイルハンドリングアシスト」を搭載するなど、旋回性能の向上が図られていました。

 その後、2018年にはユーザーニーズに対応するかたちで2列シート5人乗り仕様を投入しましたが、すでにリアがヒンジドアのミニバンは人気が低迷しており、販売的に苦戦し、2020年に一代限りで生産を終了しました。

※ ※ ※

 前述のとおり、現在販売されているミニバンはFFで背が高いボディ、両側スライドドアという仕様に固定されており、個性という点では主張するのが難しいといえます。

 一方、そんなミニバン市場で存在感のあるモデルとして挙げられるのが三菱「デリカ D:5」で、唯一無二のオフロードミニバンとして人気を獲得。2019年のビッグマイナーチェンジでデザインが一新され、ミニバンとしてのポテンシャルも飛躍的にアップしました。

 しかし、デリカ D:5は誕生からすでに15年が経過しており、今後フルモデルチェンジするのか、それとも延命が図られるのか、その去就が注目されています。

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1件のコメント

  1. ジェイドの後期型RSに乗っているけど、本当に良い車だよ
    特に後席の居住性が素晴らしいから、友人と遠出する時はいつも私が車を出している

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