世界初公開されたレクサス新型SUV「RZ」最速試乗! トヨタ社長の「ワォ」の理由が分かった!? 新型「bZ4X」と全く違う魅力とは
“攻め”の姿勢「Fスポーツ」は「イマ」はない?
このような走りを備えたRZですが、レクサスのもっとも大事な静粛性/乗り心地も抜かりなしです。
「BEVだから静かなのは当たり前」と思われがちですが、インバーター音や風切り音、タイヤノイズなども見事に抑えられており、例えるならば「初代LSの再来」といっても過言ではないレベルです。
乗り心地も車体により減衰効果とFSDIIの味付けの良さ、さらには電動パワートレインを活かした姿勢制御なども相まって、バネ下はよく動くのにバネ上はフラットなままです。
路面の凹凸を超える際のアタリ優しさや振動収束の良さも、レクサスのなかではトップレベルといっていいと思います。正直にいうと、これならAVS(電子制御ダンパー)はいらないなと思ったくらいでした。
ただ、ここまで走りがいいと欲がでてきます。RZはノーマル仕様のみの設定で、ほかのレクサスモデルのようにFスポーツの設定はありません。
開発者にその疑問を聞くと「基本を磨くために、まずはノーマルのみです」と答えてくれました。
その気持ちはよく解るし正論だと思いますが、プレミアムブランドは“真面目”だけではダメです。
とくにBEVの普及をトヨタが担うのなら、レクサスはもう少し“攻め”の姿勢があってもいいと思います。
つまり、クルマ好きから「馬鹿だよね~」といわれることも必要です。その辺りに関してジャーマン3(メルセデスベンツ・BMW・アウディ)はよく解っており、まさに「無駄を楽しむ」モデルもシッカリ用意されています。
現状のシステムを活かすなら、出力をさらに引き上げ(組み合わせ上はフロント150kW/リア150kWが可能)、加速もコーナリングもRC Fにも負けないパフォーマンスを備えたRZ Fスポーツなど、「BEVとスポーツは両立できる」を形として表現したモデルとかいいかもしれません。
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昨今各社からBEVが登場していますが、現時点では航続距離、充電時間、充電インフラなど内燃機関と同じとはいきません。
そんななかでBEVを選んでもらうには、内燃機関では得られない「プラスα」が重要だと考えます。
そういう意味ではRZの個性は、巷のBEVに多い「凄い加速」ではなく、モーターの緻密な制御を活かした駆動力コントロールを活かした異次元のコーナリングです。
つまり、BEVになったことで“レクサスならではのドライビング体験”はより明確になったといえるかもしれません。
さらにいえば“RZ”という走りの原単位ができたことで、ほかのモデルの進化にも期待が高まります。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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