世界初公開されたレクサス新型SUV「RZ」最速試乗! トヨタ社長の「ワォ」の理由が分かった!? 新型「bZ4X」と全く違う魅力とは

新型「RZ」の走りはどうのか? 「楽」に「速く」走れる?

 プラットフォームはe-TNGAをベースにレクサス独自の構造やブレースなどによる補強、レーザースクリューウェルディング/構造用接着剤/レーザーピニング溶接などの接合技術が盛り込まれています。

 それに加えて、サスペンションには周波数感応アブソーバー(FRDII)、タイヤは前後異形で20インチ仕様はフロント235/リア255を装着。

 このように基本素性を高めたうえで、ツインモーターAWDの特性を活かした4輪駆動力システム「DIRCT4」を採用しています。

 具体的には車輪速センサー/加速度センサー/舵角センサーなどの情報を用いて、前後輪の駆動力配分を100:0から0:100までシームレスかつ綿密におこなえるといいます。

 さらにステア系も新たな挑戦がおこなわれており、ステアリング操作を電気信号に置き換えてタイヤを動かす「ステアバイワイヤー」を設定。

 ステアリング操舵角を約+-150度に設定することで、ステアリングを持ち替える必要のない運転を可能に。

 そのため、ステアリング形状は円形ではなく操縦かんのような独特な形状となっています。ただ、今回の試乗車には未装着、従来ステアリングの仕様のみの試乗となりました。

乗り比べれば「分かる!」 下山テストコースを楽に速く走るコトが出来る新型「RZ」
乗り比べれば「分かる!」 下山テストコースを楽に速く走るコトが出来る新型「RZ」

 では、走りはどうでしょうか? アクセルを踏むと新型bZ4X/新型ソルテラよりも力強さを感じますが、プレミアム系のBEVによくありがちなモリモリ湧き出るパワー感や凄い加速ではなく、余計なピッチングもなく滑らかにスーッと加速していつのまに速度が出ているというフィーリングです。

 そういう意味では、レクサスの「スッキリと奥深く」の世界観に合った加速だと思います。

 ノーマルモードはこれでいいと思いますが、スポーツモードではモーター制御の自在性や出力の出しやすさを活かした“アメージング”な特性を持たせても良かったのかなと。

 ステア系は軽い操舵力で超滑らかだが直結感が高く正確無比な操作が可能です。

 驚きはハンドリングで、目線が高く2トン近い車両重量のSUVながら、まるでスポーツカーのように路面に張り付いているかのように曲がります。

 イメージ的には姿勢変化は最小限でコーナーの曲率に合わせて4つのタイヤのグリップ力が最適になるようにコントロールして旋回しているような感じで、とにかくアンダーステア知らずのコーナリングです。

 この辺りは下半身が強靭、上半身はしなやかという車体構造を活かした剛性バランスや力の連続性の良さ、ストロークすることに特化できたサスペンションといった基本素性に加えて、DIRECT4による駆動力制御が効いているのでしょう。

 ちなみにターンインはフロント寄り、コーナリング中はタイヤの接地荷重に合わせて可変、コーナー脱出時はリア寄りになっているそうです。

 それも機械に強制的に曲げられているのはなく、より自然に、よりシームレスなので、まるで自分の運転が上手くなったかと錯覚してしまうくらいです。

 タイヤは決してグリップ重視の銘柄ではありませんが、スポーツタイヤを履いているかのような安心感といったらいいでしょうか。

 トヨタ下山テストコースは通常の道では考えられない三次元的な入力が入るうえに、先が見えないコーナーやコーナー途中で曲率が変わるコーナーなど、“だまし”要素が数多くありますが、そんな過酷なコースにも関わらず「楽」に「速く」走れました。

※ ※ ※

 ちなみにRZを試乗した後に別のレクサスで同じペースで走らせてみると、常にタイヤはスキール音が鳴りっぱなし、そしてクルマを車線内に収めるだけで精一杯というドライビングした。

 つまり、トヨタ下山テストコースをサラッと走ることができたRZのコーナリング性能は、実は驚くほどのレベルだということを改めて実感しました。

 つまり、豊田社長の「ワォ」は、これまでのクルマでは実現できなかった「ドライバーの意図に忠実な走り」と「驚きのコーナリング」だったと、試乗して解りました。

 2021年12月の記者会見での筆者の質問に対して「より安全、よりFun to Driveなクルマができるという期待値、私のようなジェントルマンドライバーが、プロドライバー同じように走れるクルマが、このプラットフォームによって作れる可能性が出てきた」という答えのひとつがRZというわけです。

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