ついに1000km以上の走行距離達成! 公道テストで見せたメルセデス・ベンツのEV「ヴィジョンEQXX」のスゴさとは

電気自動車(EV)は内燃機関(ICE)モデルに比べて走行距離の短さがネックになっていましたが、もう時代はここまで来ています。メルセデス・ベンツのコンセプト「ヴィジョンEQXX」の公道実証実験の様子が公開されました。

ヴィジョンEQXXの技術は今後メルセデス「EQシリーズ」に採用されていく

 独メルセデス・ベンツは2022年4月14日、電気自動車(EV)コンセプトである「ビジョンEQXX」がこのたび欧州の公道を走行し、1回の充電で1000km以上の距離を走行することができたと発表しました。

メルセデス・ベンツ「ヴィジョンEQXX」の公道テストの様子
メルセデス・ベンツ「ヴィジョンEQXX」の公道テストの様子

 ヴィジョンEQXXは、2022年1月3日に世界初公開された、メルセデス・ベンツの電気自動車(EV)「EQシリーズ」に登場した新しいコンセプトモデルで、4ドアクーペスタイルのボディタイプです。

 全長4977mm×全幅1870mm×全高1350mm、ホイールベースは2800mmと発表されており、フラッグシップEV「EQS」とミドルサイズEV「EQE」の中間のボディサイズとなっています。

 その最大の特徴は高効率化です。100km走行あたり10kWh以下という、メルセデス・ベンツのEV史上もっとも良いエネルギー効率を実現しているといいます。また自社で設計/製造した画期的な新システムで、バッテリーからホイールまでの効率は95%を実現しています。

 ビジョンEQXXのバッテリーはおよそ100kWhのエネルギー容量を持ちながら、EQSに搭載したバッテリーパックよりも体積が50%小さく、さらに30%軽量化されているといいます。

 またCd値(空気抵抗係数)0.17という驚異的なエアロダイナミクスも実現。さらにボディだけでなく、空力特性を最適化した超低転がり抵抗のタイヤと軽量マグネシウムホイールを搭載することで航続距離を最大化しています。また、ブレーキシステムもアルミ合金製の軽量ブレーキディスクを採用し、軽量化に貢献しています。

 今回の実証テストは、ジンデルフィンゲンからスイスアルプス、北イタリアを経て、南フランス・コートダジュールのカシスに到着するまで約1050kmの一般道を走行。ドイツのアウトバーンでは最高140km/h、その他の場所では制限速度に近い速度で高速巡航を続けるなど、通常の道路走行でおこなわれたといいます。

 その結果、到着時のバッテリーの充電状態は残り約15%で、残りの走行可能距離は140km、平均消費電力は8.7kWh/100kmという記録的な結果を残しました。

 今回の長距離走行実証テストは、メルセデスの開発アプローチの有効性を公式に確認するため、認証機関「TUV Sud」の専門家が同行、充電ソケットを封印した状態でおこなわれました。EVの効率と航続距離の新しいベンチマークを記録したヴィジョンEQXXの技術は、今後量産されるメルセデス「EQシリーズ」にも展開される予定です。

 メルセデス・ベンツグループAGの取締役会会長であるオラ・ケレニウス氏は「私たちはやり遂げました。1回の充電で1000km以上の距離を軽々と走り抜けたヴィジョンEQXXは、メルセデス史上もっとも効率的なクルマです。このクルマを支える技術は、EV開発におけるマイルストーンとなるものです」とコメントしています。

 またメルセデス・ベンツグループAGの取締役会メンバーで、開発担当最高技術責任者マルクス・シェーファー氏は「南仏への長距離テストの成功により、効率性が新たな価値であるということを示しました。この成功は、メルセデスAMG F1チームとその電動パワートレインに関する最先端の専門技術から、多くのことを学んだ、我々の新たな共同開発プロセスにもはっきりと現れています。

 ヴィジョンEQXXに搭載した革新的な開発の多くはすでに生産に移行しており、その一部はEQシリーズのコンパクトカーやミッドサイズカーにも組み込まれています。これで終わりではなく、我々はヴィジョンEQXXで、可能性の限界を試し続けます」とコメントしています。

未来のEVは明るい! メルセデス「ヴィジョンEQXX」を画像でチェック(30枚)

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