「戦いがはじまった…」 トヨタとスバルのガチンコ勝負! カーボンニュートラル燃料で挑むスーパー耐久・開幕戦の行方はいかに
新たな一歩の幕開け! カーボンニュートラル燃料で戦うGR86とSUBARU BRZ。いざ5時間耐久へ
決勝はどちらのマシンもノントラブルで走行。ちなみに途中経過はレース途中には何度かGR86/BRZのガチンコバトルも見られ、オフィシャル映像でも注目されていました。
結果は、前述のようにGR86 CNFコンセプトのトータルタイムは5時間1分55秒449、ベストタイムは大嶋和也選手の2分23秒308。
BRZ CNFコンセプトのトータルタイムは5時間2分58秒484、ベストタイムは井口卓人選手の2分24秒157となっています。
ちなみにこの2台は、開始1時間から2時間後はGR86 CNFコンセプト、3時間後はBRZ CNFコンセプト、4時間後はGR86 CNFコンセプトと、まさに「抜きつ抜かれつ」の攻防を繰り広げましたが、最終的にはGR86 CNFコンセプトが1分近い差をつけてゴールしています。
第1戦の結果としては、GR86 CNFコンセプトに軍配が上がりましたが、見ている側としては「いい勝負をしていたな」と感じました。
決勝後、両チームの監督に今回のレースの総評を聞いてみましたが、やはり「隣の芝は青い」ようです。まずはROOKIE Racing・片岡龍也監督からです。
「GR86はここまで満足にテストができていなかったので、正直いうと覚悟(=リタイヤ)もしていました。
ただ、今回は決勝だけでいえば“順調”で何もなく終わったのは大きな収穫でした。
実は事前のテストではGR86優勢と思っていたものの、蓋を開けたら接近戦で『これまでBRZは三味線弾いていたの?』と思っていたくらいです。
次戦は24時間ですが、正直スタミナが見えていません。そういう意味ではまさに『クルマを鍛える』レースになりそうなので、覚悟して臨みたいと思います」
さらに藤原氏が付け加えます。
「結果は我々が上でしたが、クルマとしての完成度・信頼性はBRZのほうが上だと思いました。
そういう意味でも『レースは甘くない』を痛感しました。正直、今回は課題だらけでしたが、24時間に向けて『強いクルマ』にしていきます」
一方、SDA Engineeringの本井監督はこのように総評を語ってくれました。
「初めての鈴鹿でセットアップの心配がありましたが、目標通りノントラブルきちんと走り切ることが出来ました。
今日時点ではベストでしたが『完敗』ですね。
離れっぱなしじゃなくてよかったが、逆に悔しさもあります。
ただ、若いメンバーがレースウィークを通じて、技術的にはもちろんですがモチベーションや気持ちの進化したのを見て取れたのは良かったです。
GR86はちょっと遠すぎですが、我々も頑張るしかないです。
課題もわかっている、次に向けてやることもわかっていますので粛々と。富士は24時間、それまでに強くなって帰ってきたいと思います」
※ ※ ※
このように両者共に「得た物」と「課題」が見えた開幕戦となりましたが、共通しているのは「どちらもこの状況に満足していない」ということです。
次戦は6月3日-5日に富士スピードウェイでおこなわれる24時間の戦いです。
マシンも人もより高いレベルが求められるチャレンジングな戦いとなりますが、2台の進化、チームの成長にも期待大です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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