なぜダイハツは軽依存からシフト? 小型車販売が5年で34倍に急成長! トヨタOEM車には無い個性を出す訳

軽自動車をメインに販売するダイハツですが、最近は小型車にも力を入れており、売り上げを伸ばしています。なぜダイハツは、軽自動車中心の販売から脱却する必要があったのでしょうか。

軽がメインだったダイハツが小型車に力を入れるわけ

 ダイハツは軽自動車メーカーのように思われていますが、以前に比べると小型車にも力を入れています。

 コンパクトSUVの「ロッキー」は2021年に1か月平均で約1800台が登録されていますが、この売れ行きはトヨタ「クラウン」などと同程度です。

 また背の高いコンパクトカーの「トール」は2021年の1か月平均が1200台でした。

小型車シフトのきっかけとなったダイハツ「トール」(2020年マイナーチェンジ)
小型車シフトのきっかけとなったダイハツ「トール」(2020年マイナーチェンジ)

 過去を振り返ると、2015年に国内で販売されたダイハツの小型/普通車は、全車を合計しても1年間にわずか1654台でした。1か月平均なら138台ですから、ダイハツの小型/普通車は、実質的にほとんど売られていない状況だったのです。

 それが2016年には6930台、2017年には2万8113台と急増して、2018年は3万5305台、2019年には4万3695台に達しました。

 2020年は各社ともコロナ禍の影響を受けて、小型/普通車の登録台数を減らしましたが、ダイハツだけは5万6169台に増えています(軽自動車は13%のマイナス)。

 2015年と2020年を比べると、わずか5年間でダイハツの小型/普通車の登録台数は34倍に増加したのです。

 2021年のダイハツの小型/普通車登録台数は、4万37台に減少しましたが、それでも2015年の1654台に比べれば24倍以上です。以前よりは圧倒的に増えています。

 なぜこれほどまでにダイハツ車の登録台数が増加したのでしょうか。

 その直接の理由は、2016年にトール、2019年にロッキーが発売され、好調に販売されたからです。

 そしてこれらのダイハツの小型車はトヨタにOEM車として供給され、ロッキーはトヨタ「ライズ」、トールはトヨタ「ルーミー」として販売されています。

 登録台数は、ダイハツブランド車よりもトヨタの扱うOEM車が圧倒的に多いですが、それでも以前に比べるとダイハツブランドも大幅に増えました。

 それまでのダイハツ車は、「ブーン」が1か月に100台前後登録され、それ以外は「メビウス」(トヨタ「プリウスα」のOEM車)と「アルティス」(トヨタ「カムリ」のOEM車)が少数売られる程度でした。

 トールの発売をきっかけに、ダイハツの小型車販売は大きく上向いたのです。

 2016年にトールが発売されたときは販売店の様子も変化しました。かつてダイハツの販売店に置かれていた試乗車は大半が軽自動車でしたが、トールについては小型車なのに積極的に配車。ダイハツのTV・CMも、トール以降は小型車が増えています。

 このときの販売の変化について、ダイハツの販売店スタッフは次のようにいいます。

「従来は小型車の販売に力を入れませんでしたが、トール以降は方針が変わり、積極的に売っています。この背景には、今後の軽自動車市場の見通しがあります。

 2015年には、軽自動車税が(従来の年額7200円から1万800円に)値上げされ、次第に軽自動車の売れ行きが下がる可能性もあります。そこで小型車に力を入れたというわけです」

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