偉大な初代を超えられた!? 2代目がかなりイケてた車3選
まったく新しいクルマが誕生すると、それだけでも大きなインパクトがあり話題となります。さらに優れたモデルであれば、苦労するのは2代目ではないでしょうか。しかし、2代目も秀逸だったモデルも存在。そこで、初代を超えるようなインパクトがあった2代目を、3車種ピックアップして紹介します。
初代を上回るほど優れた2代目のクルマを振り返る
各自動車メーカーから、毎年フルモデルチェンジ、マイナーチェンジした新型モデルが発売されますが、まったく新しいクルマが誕生するとそれだけでも大いに話題となります。
そんな新たなクルマが優れた性能であったり、秀逸なコンセプトで設計されていたりすれば、苦労するのは2代目以降のモデルです。
初代のインパクトが大きいと2代目がそれを上回ることは容易ではなく、実際に初代が大ヒットしても2代目がヒットしなかったケースも珍しくありませんが、一方で優れた2代目も存在します。
そこで、初代を超えるようなインパクトがあった2代目を、3車種ピックアップして紹介します。
●スズキ「ジムニー」
現在、軽自動車のなかで唯一無二のクロスカントリー4WD車であるスズキ「ジムニー」は、1970年に初代が誕生しました。
車体は堅牢なラダーフレームにボディを架装する構造を採用し、耐久性が高くロングストロークの前後リーフリジッドのサスペンション、副変速機付きのトランスファーを用いたパートタイム式4WDシステム、低速域でも粘るトルクフルな2サイクルエンジンなど、メカニズム的にはすでに完成の域に到達していました。
そして、1981年に2代目が登場。主要なメカニズムは初代を踏襲し、新たな軽自動車規格に合致したサイズに設計されたボディは、よりスクエアなクロカン車らしい質実剛健なデザインとなりました。
2代目ジムニーでは時間の経過とともにエンジンが大きく変わり、当初は最高出力28馬力の550cc2サイクル直列3気筒で、その後は550cc4サイクル直列3気筒SOHCターボ、最終的には64馬力の660cc直列3気筒DOHCターボが搭載されました。
トランスミッションも4速MTから5速MT、1992年には3速ATが追加されるなど、より普段使いに適した改良がおこなわれ、当初は商用バンだけでしたが、乗用車モデル設定されたことで居住性も向上。
サスペンションは当初のリーフリジッドから1995年に前後コイルスプリングのリジッドアクスルとなり、走行安定性と乗り心地の改善も図られました。
また、初代には登録車で800ccエンジンの「ジムニー8」がありましたが、2代目では「ジムニー1000」「ジムニー1300」、よりワイドトレッドの「ジムニーシエラ」が加わりました。
さらに、2代目は本格的な海外進出を果たし、北米や欧州ではスズキ「サムライ」の車名で販売され人気を獲得。インドでは現地生産され、ロングボディの派生車マルチスズキ「ジプシー」が2019年まで販売されていました。
その後、1998年に3代目が発売され、2018年には現行モデルの4代目が登場しましたが、2代目で確立された基本的な仕様を受け継いでいます。
●ホンダ「CR-X」
ホンダは1983年に、FFスポーツカーの「バラードスポーツCR-X」を発売しました。軽量コンパクトなファストバッククーペボディにパワフルなエンジンを搭載し、優れた走りから若者を中心に絶大な人気を誇りました。
そして、初代のコンセプトを引き継いだ2代目が1987年に登場。車名はホンダ「CR-X」に改められました。
ボディサイズは、全長3755mm×全幅1675mm×全高1270mmとなり、先代より低く幅広なスタイル、そして各部のパーツのフラッシュサーフェース化が施され、さらにスタイリッシュに仕上げられました。
エンジンは最高出力105馬力(MT)の1.5リッター直列4気筒SOHCツインキャブ仕様と、130馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCが用意され、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。
足まわりは4輪ダブルウイッシュボーンへと進化し、優れた路面追従性を発揮することで、高い運動性能を実現しました。
さらに1989年のマイナーチェンジでは、先行して「インテグラ」に初採用されたVTEC(可変バルブタイミング&リフト機構)エンジンを搭載したグレードの「SiR」が登場しました。
1.6リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンは160馬力を発揮し、車重970kgの軽量ボディと相まってCR-Xの走行性能は一気に高まり、まさにFFライトウエイトスポーツを極める走りを楽しめるモデルに仕上げられていました。
その後2代目CR-Xは、1992年3月に3代目となる「CR-Xデルソル」にバトンを渡し、販売を終了しました。
なお、2代目の累計の登録台数は7万台を超え、初代以上のヒット作となりました。
●トヨタ「プリウス」
世界初の量産ハイブリッド車として1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」は、同クラスの1.5リッター車の2倍となる驚異的な燃費性能を誇ったことでセンセーショナルなデビューを飾り、エコカーの概念を変えた存在でした。
自動車史に残るエポックメイキングなクルマだった初代プリウスでしたが、同クラスのガソリン車よりも50万円以上も高価だったことや、走行用バッテリーの生産性の問題、さらにハイブリッド車がニッチな存在だったことなどが重なり、大ヒットには至りませんでした。
そこでトヨタは2003年に、2代目プリウスを発売。外観は初代の4ドアセダンから5ドアハッチバックに刷新され、ボディサイズを拡大したことで初代を上回る広い室内空間を実現し、本格的なグローバルカーとしての販売を目指しました。
ハイブリッドシステムは大きく進化し、燃費も31km/L(初代最終型)から、35.5km/L(10・15モード)に向上。
さらに2代目ではモーターだけのEV走行が可能になり、世界初の自動で駐車をアシストする「インテリジェントパーキングアシスト」も装備されるなど、単なるエコカーというだけでなく、より未来的なクルマへと変貌を遂げました。
さまざまな性能が向上したにも関わらず、価格は215万円(消費税含まず)からと初代と同じに設定されたことで割安感があり、国内の生産 台数は4万1938台/年(初代の最終型)から13万2703台/年と一気に3倍以上となりました。
その後、3代目ではエコカー補助金や減税の効果もあって、最高で年間50万台以上販売する空前のヒットを記録。登場から6年が経過した現行モデルの4代目も、未だに世界トップクラスの低燃費を誇り、販売台数も好調です。
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新型車の開発にはおよそ3年の期間がかかるといわれますが、さらに先の5年後、10年後を見越して企画されるのが通例となっているようです。
クルマの技術は日々進化しているといえますが、近年はニーズの変化のサイクルも早くなっています。
フルモデルチェンジしてどんなに優れたクルマをつくったとしても、登場した時点でのニーズを読み違えればヒットしないケースもあり、自動車開発の難しさがうかがえるのではないでしょうか。
CRXはあのまままた発売されても売れるのでは?
今時の派手なルートフロントマスクの車に比べたらほんとかっこよくて速そう。
初代のロードスターも再現して欲しい。