なぜスバルは“ワゴン推し”?「レヴォーグ」や「アウトバック」などワゴンに注力する訳とは

ワゴンの特徴がスバルの思想とマッチしている!?

 ワゴンは居住空間の後部に荷室を備え、ボディの最後部にはリアゲートも装着されるため、荷物の積載や出し入れをしやすいです。荷室はミニバンほど広くありませんが、日常的に使いやすく設計されています。

 その一方でワゴンは全高を低く設定。レヴォーグは1500mmに抑えられ、重心もセダンと同等です。

ワゴンとSUVを融合させたスバル新型「レガシィ アウトバック」
ワゴンとSUVを融合させたスバル新型「レガシィ アウトバック」

 リアゲートの開口部などは剛性を入念に高めたので、走行安定性も優れています。実用的で、運転を楽しめて、長距離の移動も安全で快適です。

 このレヴォーグの特徴は、ワゴンボディとの相乗効果で達成されました。表現を変えると、ワゴンはスバルのグランドツーリング思想を商品に反映させるうえで、もっとも親和性の高いボディスタイルに位置付けられているのです。

 スバルは1980年代初頭に発売された「レオーネ」の時代から、4WD(AWD)と併せてツーリングワゴンに力を入れてきました。

 1989年には「レガシィツーリングワゴン」を発売し、2014年には初代(先代)レヴォーグへと伝統を引き継いでいます。

 ワゴンはスバルの考え方と特徴を表現しやすいカテゴリーなので、ワゴンの人気がSUVやミニバンに押されて低下しても、商品開発を続けているのです。

 国内ではレヴォーグ、海外では前述のレガシィアウトバック(海外名:アウトバック)が用意されています。

 もともとアウトバックも、レガシィツーリングワゴンをベースに開発されたワゴンとSUVの中間的な車種でしたが、いまはレガシィツーリングワゴンが廃止されてアウトバックのみになりました。

 2021年9月にフルモデルチェンジして登場した新型アウトバック(6代目)は全長が4870mmに達するラージサイズのボディを備えますが、ワゴン風のSUVなので、最低地上高は213mmを確保しながら全高は1700mm以下です。

 直進安定性が優れ、重心があまり高くないので、左右に振られる感覚も受けません。スバルらしいワゴン感覚のSUVに造り込みました。

 レヴォーグやアウトバックを運転すると、スバル車の良さと併せて、ワゴンの特徴も良くわかります。

 そして、なぜスバルがワゴンにこだわるのか、という理由も見えてくるでしょう。

 そこには大規模メーカーを相手に、スバルが生き残るための「ワゴン戦略」も秘められているというわけです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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