韓国車「ヒョンデ」に勝ち目はあるか 12年ぶり日本再上陸! 今だからこそ仕込めた「3つの秘策」とは

「今」が日本再参入の最良タイミング?

 2つ目の「BEVとFCVのみ」については、輸入車メーカーの中では、英国ジャガーが2025年、スウェーデンのボルボが2030年までに新車100%のBEV化を目指すとしています。

 ヒョンデがそれらより早い2022年の時点で、日本市場でFCVを含む新車ZEV100%を実現することは、日本の自動車産業界全体にとっても大きなインパクトがあると思います。

 ヒョンデとしては、グローバルで急激なEVシフトが起こっている今が、日本市場再参入の最良タイミングなのかもしれません。

12年ぶりに日本市場に再進出を果たしたヒョンデ
12年ぶりに日本市場に再進出を果たしたヒョンデ

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 3つ目のシェアリングについては、若い世代への強いアピールとして有効なはずです。

 今回の記者会見では、DeNAとSOMPOホールディングスが出資するDeNA SOMPOモビリティも参加し、ヒョンデと「Anyca」との協業を明らかにしました。

 Anycaは2015年9月にスタートしたDeNA SOMPOモビリティのカーシェアサービスです。

 筆者(桃田健史)はこれまでAnycaについて、DeNA関係者らに定常的に取材してきましたが、Anycaは試行錯誤を繰り返しながらしっかりとした事業基盤を築いてきたという印象を持っています。

 同社によると、2021年の契約者の約6割が20代で、そのうち85%の人が自分のクルマを所有したいという意思を持っているとのデータがあります。

 ヒョンデについては、B2C(企業から個人)型のカーシェアを2022年2月下旬から東京と神奈川を中心に開始し、FCV「NEXO(ネッソ)」20台と、EV「アイオニック5」100台を導入する予定です。さらに、2022年5月末までの期間限定で、カーシェア1時間を無料とするキャンペーンも展開します。

 そのほか、DeNA SOMPOカーライフが提供するサブスクリプションカーリース「SOMPOで乗ーる」でも、ヒョンデを取り扱うことを明らかにしました。

 要するに、短期利用はカーシェア、中期利用はサブスク、そして長期利用はオンライン販売という、ユーザーの立場で見ると多様なプログラムが用意されているのです。

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 約12年間の時を経て、全く新しく形で日本上陸を果たした韓国ヒョンデ。

 以前は日本語表記が「ヒュンダイ」でしたが、韓国語の発音により近い「ヒョンデ」を日本での正式社名としたこともあり、まったく新しいブランドとして生まれ変わったといえます。

 果たしてヒョンデは、日本市場に新たな風穴を開けることができるでしょうか。

 正式なオーダー開始は2022年5月、デリバリーは7月の予定です。今後のヒョンデの動向を注視していきたいと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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