まさかの「屋根なし軽トラ」なぜ開発!? ホンダとダイハツが見せた姿 マルチな活躍に注目集まる
ホンダが開発した“屋根なし軽トラ”と呼びたくなる最新モビリティ「ホンダAWV」に注目が集まるなか、ダイハツもコンセプトモデルとして“屋根なし軽トラ”を提案していました。それぞれ用途は正反対ですが、どんな特徴があるのでしょうか。
ダイハツもまさかの“屋根なし軽トラ”を提案!?
ホンダは、米国で自律型作業車両「ホンダAWV」の実証実験を2021年11月に実施。自律走行が可能といった特徴だけでなく、“屋根なし軽トラ”と呼びたくなるその見た目にも注目が集まっています。
一方、直近ではダイハツも“屋根なし軽トラ”を製作し、披露していました。それぞれ、どのような狙いで開発されたクルマなのでしょうか。
前述のホンダAWVは、正式名称が「Honda Autonomous Work Vehicle」(ホンダ オートノマス ワーク ビークル)という電動モビリティです。
頑丈で耐久性の高いボディに、GPSによる位置情報、レーダーやライダーによる障害物検知機能、その他センサー類を搭載。高度な自律走行に対応し、作業現場で荷物の運搬などの業務を担います。
またアタッチメントやツールを追加することで、さまざまな作業に活用できるということです。タイヤが専用タイプとなり、未舗装路の走行にも配慮されています。
ボディサイズは全長約290cm×全幅約150cm×全高約142cmで、最大積載量は399kg、最大けん引重量は750kg。最小回転半径は3.9mと、小回り性能にも優れています。
荷台はホンダがかつて生産していた軽トラック「アクティトラック」のものを流用していると見られ、テールランプ周りの意匠にアクティトラックらしさが感じられます。
また、軽トラックのキャビン部分が撤去され運転席に該当するスペースのない設計となっており、次世代の“屋根なし軽トラ”と表現できるクルマといえるでしょう。
ホンダAWVについて、米国ホンダのプロジェクトリーダーであるケントン・ウィリアムズ氏は、次のように述べています。
「(実証実験中の)ホンダAWVは、建設業界をはじめ、オフロードの自律走行ソリューションを求めるさまざまな業界に、より高い効率性、高い安全性、優れた環境性能をもたらす可能性があると信じています。
また(2021年11月から1か月おこなわれた実証実験においても)、大規模な建設環境で、頑丈な電気自動車であるホンダAWVの性能を実証することができました」
軽トラックを自分で運転するのではなく、自律走行できるプラットフォームとして活用する、新たな取り組みがホンダ内で進められています。
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一方、かつてダイハツも“屋根なし軽トラ”を提案したことがあります。
新型コロナ禍の影響でオンライン開催となった「バーチャルオートサロン2021」(2021年1月)において、ダイハツは「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」というコンセプトモデルを公開。
ヒントとなったのは、時々果樹園で見かける屋根のない軽トラックです。こうしたクルマは、効率的に果物を収穫することを目的に農家が軽トラックの屋根を切って全高を低くし、果樹園のなかに限って走行する「農機具」に改造したものです。
ダイハツは、果樹園の屋根なし軽トラの醸し出す独特な雰囲気に注目し、ハイゼットジャンボを完全オープンのスポーティ仕様にカスタム。
フルバケットシートや4点式シートベルトが装備されているほか、アドバンA050のセミスリックタイヤやレイズ製鍛造ホイール、KTV Ultimate製の車高調なども装備されました。
製作の狙いについて、ダイハツの担当者は次のように説明しています。
「平日は果樹園ではたらく若者が、休日はみんなで草レースを楽しむ。そんな面白いクルマができたらいいな、と思い製作しました」
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クルマとしての無駄を省いたシンプルさが魅力といえる軽トラックは、しばしば「農道のスポーツカー」と呼ばれることもあります。
その一方、ボディの小ささや取り回しの良さを生かしてさらに自律走行の技術と組み合わせることで、ホンダAWVのように作業現場の効率をさらに上げる「動く台車」としての新たな役割も期待される状況です。
クルマの本質に近い存在だからこそ、アイデア次第で趣味にも娯楽にも活用できるのが軽トラックといえるのかもしれません。
いまは矮化栽培で高齢で低樹高のリンゴの樹木は減りましたが、果樹園でも走れる「屋根がない」という利点の反面、低く這わせた樹木にノーガードで頭部が激突という死亡事故も無くなってはいません。車両の先端に頭部の高さまで伸びたアンテナのようなセンサーを設け、幹が接触したらハンドルより前に勢いよく飛び出す鉄柱のようなガードくらいは標準装備にしましょう。あと、横転・転覆時にもその鉄柱があれば下敷きで圧死という事故も軽減できます。屋根なしトラクタでの横転事故でも下敷きで死亡というケースはこれで低減できるでしょう。