レクサス新型「LX」はどう進化? 最速試乗でわかったランクル300との違いとは?
どのシーンで走ってもレクサスらしい走り
最後に、クローズドコースなのをいいことに、目いっぱいのペースで走らせてみましたが、重さだけ注意すれば不安要素もなし。
正直いってしまうと、緩めの中速コーナーを曲がる時の『気持ち良さ』はNXといい勝負かな……と。
ノーマルでここまで走れてしまうと、海外仕様に設定のある「Fスポーツ」の期待値はより高まります。ちなみに日本への導入の可能性について横尾氏に聞いてみると、「モノとしては存在しますので、市場からの要望次第ですね」と語ってくれました。
乗り心地に関しては、今回試乗した路面がフラットだったので、判断は一般道での走行までお預けです。ただ、コース上の縁石を跨いでみた感じでいうと、段差を乗り越える際のアタリの優しさとショックの少なさは、現レクサスラインアップの中で一番優れているといってもいいかもしれません。
ではオフロード性能はどうでしょうか?
上記のようにオンロード性能の飛躍的なレベルアップから、「オフロードはランクルに任せたのかな?」と思う所もありましたが、モーグルや急こう配を備えた特設コースを走らせてみてひと安心。
もちろん先代でも同じコースはクリアできる実力を備えていますが、新型はそれに加えて「誰でも」、「安心して」、「快適に」、「楽に」走ることが可能でした。
とくに驚いたのは階段状の段差を上がる時、新型はまるで段差の角が丸くなったかのようなショックの少なさとクルマの擦れの少なさを実感。さらにオフロード走行をアシストしてくれるマルチテレインセレクトやクロールコントロールの制御の緻密さや応答の速さ、作動音の少なさなども、クルマへの信頼に繋がると思います。
※ ※ ※
そろそろ結論に行きましょう。
レクサスは相反する価値を同時に叶えることを「二律双生」と呼んでいますが、新型LXはオンロード性能/オフロード性能を高次元で両立させているだけでなく、どちらのシーンで走ってもレクサスらしさを実感できる魅力が備わっている一台です。
おそらく、先代はレクサスの名を冠しているものの、通常のラインアップには属さない別格な存在だったように感じますが、新型は正真正銘のレクサスの一員になったといってもいいのかもしれません。
消費税込みの車両価格は1250万円から1800万円となっていますが、じつはベースグレード同士で新旧の比較をすると微増。むしろ性能アップ分や機能・装備の充実などを考えるとバーゲンプライスだったりします。
とはいえ、絶対的な価格の高さ……とくにランクルとの価格差から、今後あーだ、こーだいう人も出てくるでしょう。
ただ、ランクル300系と新型LXは似て非なるクルマに仕上がっているので、比べるのは野暮というものです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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