レクサス新型「LX」はどう進化? 最速試乗でわかったランクル300との違いとは?
まるで大排気量NAエンジンのような吹け上がり
では、実際に見て・触れて・乗ったらどうだったのか? 今回は短時間ですが富士スピードウェイのマルチコースと特設のオフロードセクションで試乗することができました。
エクステリアにはランクルの面影が残りますが、ドア以外の外板は全てLX専用です。企画時はまったく別のデザインも検討されたといいますが、メインマーケットの中東ではランクルとの協調はメリットのため、あえて“らしさ”を残しているそうです。
個人的には18インチタイヤとヒカリ物を抑えた意匠の「オフロード」が好印象で、これまでのレクサスとは違う「引き算の美しさ」が感じられました。ただ、残念なのはランクルと同じホイールデザイン。ここはLXにふさわしいカッコいい専用デザインを期待したいところです。
ステップに足をかけ、「ヨイショ」と運転席に座ると、TNGA世代のUX/NXと変わらない自然なシートポジションに先代からの進化を実感します。
インパネは新世代レクサスの「TAZUNA」に基づく設計ですが、先に登場したNXとはデザインは異なります。上部にナビゲーション用、下部に空調/AWD制御用のツインディスプレイ仕様となっており、各スイッチは悪路走行時も確実に操作ができるように機能的に配置されています。個人的には大画面のシングルディスプレイにして画面分割をしたほうが、デザインはよりスマートになるような気がします。
少々気になったのは、ステアリングスイッチがNXとは違うロジック(従来仕様)であることと、シフトレバー後ろに非接触充電器をレイアウトするために、カップホルダーが追いやられてしまい使いづらいことです。このあたりはレクサスとしての統一感、何を優先すべきかなど……再考の余地があると思います。
インテリアの注目は、日本向けレクサス最高額となる最上級グレードの「エグゼクティブ」に採用されたリクライニング機能付(最大48度)のキャプテンシートと後席専用コンソールでしょう。実際に座ってみましたが、LSよりも縦方向に余裕があることに加えて、目線が高いことによる見晴らしの良さなども相まって快適性はいうことなしです。値段はかなり高価ですが、選びたくなる気持ちはわかります。
実際に走らせるとどうだったでしょうか?
パワートレインは415馬力/650Nmを発揮する3.5リッターV6ツインターボと10速ATの組み合わせです。
ハード的にはランクルと同じですが、LXは大排気量NAだと錯覚するような自然な過給の立ち上がりや雑味のない滑らかな吹け上がり、さらにアクセルを踏んだ時のクルマが軽くなったと錯覚するくらいの応答性の良さはランクルとは別モノ。どちらかというと「LS」に近い印象を受けました。
さらに驚いたのはフットワークです。正直いうと、試乗前は「乗り比べると解るくらいの細かい差かな?」と予想していましたが、走らせてビックリ!! ランドクルーザー300系とは完全に別のクルマで、むしろ他のレクサスモデルとの共通性の高さを実感しました。
ステア系は軽い操作力、ダルさを感じない初期応答の良さ、滑らかなのに芯がある操舵フィール、直結感の高さなどを感じましたが、これはLX初採用となるEPS(電動パワーステアリング)の恩恵が非常に大きいです。
フットワークは、語弊を恐れずにいえば、フレーム車である事を忘れる一体感のある動きが印象的です。
フレームとボディの結合の高さによる剛性の連続性や、フレーム剛性アップ(最新の溶接技術)やボディ剛性アップ(スポット増しや構造用接着剤)などにより力の伝達が上手にできていると予想しています。
ステアリングを切るとフレーム車特有のグラッと来る動きの少なさはもちろん、自然なノーズの入りと細かい操作にも応えるコントロール性、そして4つのタイヤを効果的に使って安定した姿勢で曲る感覚は、2トンオーバーの巨体であることを忘れるレベル。このあたりはより緻密な制御が可能なリニアソレノイドバルブ式AVSと姿勢変化をコントロールするAHC(アクティブハイトコントロール)のガスバネの効果が大きいのでしょう。
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