ホンダ「インサイト」2022年で販売終了? 今尚残る「プリウス」との確執 「シビックHV」で穴埋めなるか
上質なスポーティセダンへとイメージを変えた3代目だが…
2018年に登場した3代目インサイトは、それまでのファストバックスタイルから大きくイメージを変えた、スポーティなセダンとなりました。
パワートレインには、EV走行とハイブリッド走行、そしてガソリンエンジンのみによる走行をクルマが自動的に選択する、1.5リッターのガソリンエンジンとホンダ独自のハイブリッドシステム「スポーツ ハイブリッド i-MMD」が搭載され、燃費性能はJC08モードで34.2km/L、WLTCモードで28.4km/Lを実現しています。
全体的な質感の向上に加え、先進の安全運転システムである「ホンダセンシング」も標準装備。
さらにはインターナビも全車に搭載するなど、3代目は「コストパフォーマンスに優れたエコカー」というこれまでのイメージから「高機能かつ上質なスポーティセダン」へと大きく印象を変えました。
しかし、結果としてこの方向転換がユーザーのイメージとのズレを起こしてしまったようです。
ホンダ販売店は次のように指摘します。
「『プリウスのライバル』というイメージの強かったインサイトですが、3代目になって質感の向上や機能の充実が図られた結果、ベースグレードでも335万5000円。
最上級グレードになると372万9000円という価格帯となってしまいました。
おおむね300万円前後のプリウスと比べると、インサイトの割高感が目立ってしまっているのが現状です」

3代目インサイトは、必ずしもプリウスを直接のライバルとしているわけではありませんが、かつての関係が、現在もユーザーの心理に残ってしまっているようです。
また、ホンダの主力市場である北米を意識した横幅の広いセダンというパッケージングも、ユーザーが敬遠する一因となっているようです。
ただ、世界的に見ればミドルサイズのハイブリッドセダンはまだまだ需要があります。
日本では、2021年に11代目となった「シビック(ハッチバック)」のハイブリッド車が2022年に登場することが予告されているため、SNSでは「インサイトの代わりにシビックが出てくるのか」と納得する声も見受けられます。
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そうしたなかでホンダは、2040年までにすべてのモデルを電気自動車(EV)もしくは燃料電池車(FCV)にすることを宣言しています。
2040年に向けて、今後多くのEVやFCVが登場することが予測されますが、それらのモデルにはインサイトの技術が活かされることになるのは間違いないでしょう。
ハイブリッド車がめずらしくなくなった今、役目を終えつつあるインサイトですが、そういった意味で、ホンダにとっては極めて重要な1台であるといえそうです。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。



































