VW新型「ゴルフ」にディーゼルモデルTDI追加! 遅れて登場した本命はどう進化した?

静かでなめらかなディーゼルエンジン

 試乗したTDI R-Lineには、Discover Proパッケージ(19万8000円)とテクノロジーパッケージ(17万6000円)と、前出の18インチアルミホイール(6万6000円)が装着されていました。

VW「ゴルフTDI R-Line」の走り
VW「ゴルフTDI R-Line」の走り

 そして走り出してすぐに、あまりに静かで滑らかなことに驚きました。けっして大げさではなく本当に、間違えてゴルフeTSIに乗ったのかと思ったほどです。

 従来の7代目ゴルフ(ゴルフ7)のモデル末期に日本に導入されたTDIにも長距離を走る機会があって、どのような感じだったのかよく覚えているのですが、もはや比べるまでもないほど圧倒的にノイズや振動が小さく、別モノに進化しています。

 これにはおそらく、エンジンマウントをかなり柔らかくしているのも効いているのではないかと思います。先発のゴルフeTSIの1リッター車が3気筒でも、音や振動の弱点を車内に伝えないように同様の手法をとっていました。

 半面、ハードブレーキングなどの際には動きが大きく出るなど、その副作用を感じさせるシチュエーションもあったわけですが、それは特殊な状況であり、おそらく柔らかくしたほうがメリットが大きいと判断されたのでしょう。

 そしてもちろんTDIらしい力強い加速フィールは、なかなかインパクトがあります。eTSIでも十分なところ、低回転域から圧倒的にトルクフルで、ちょっときつめの上り勾配が連なる箱根のワインディングでもものともしません。

 加えて、7速DSGのクラッチが湿式多板であるおかげで、走りがとてもスムーズです。クラッチが乾式のeTSIも、DSGが不得手な極低速域の部分をBSG(ベルト駆動式スタータージェネレーター)が巧くカバーしていてあまりギクシャクすることもないのですが、TDIは素の状態でも十分にスムーズです。

 ハンドリングも、車検証によると前軸重が910kg、後軸重が550kgとややフロントヘビーながら、その影響をあまり感じさせないほど、操舵に対する動きの素直で走りの一体感があります。イメージした走行ラインを極めて正確にトレースしていくことができます。

 試乗時は雨で路面が滑りやすかったにもかかわらず、トラクションも十分に確保されていて、あたかも後輪を操舵しているかのような動き方をして、小さな舵角を維持したままグイグイと斜め前方に進んでいく感じで曲がっていきます。

 また、ゴルフeTSIのR-Lineでは少々硬さを感じた乗り心地も、後発モデルとして早くも手当てされたのか、あるいは車両重量の増加が効いてか、当たりのカドが感じられなくなっています。

 むろん、ゴルフeTSIでも掲げていた、デジタル化と運転支援技術のさらなる進化はもちろんゴルフTDIにも盛り込まれています。

 ディーゼルは欧州ではもう“オワコン”と認識されつつあるなどという話も耳にしますが、こうして最新のTDIのあまりに高い完成度を間のあたりにすると、まだまだ大きな可能性があるように感じた次第です。

VW「ゴルフTDI R-Line」のインパネ
VW「ゴルフTDI R-Line」のインパネ

Volkswagen Golf TDI R-Line
フォルクスワーゲン・ゴルフTDI R-Line

・車両価格(消費税込):408万8000円
・試乗車オプション込価格:435万2000円
・全長:4295mm
・全幅:1790mm
・全高:1475mm
・ホイールベース:2620mm
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1968cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速DSG
・エンジン最高出力:150ps/3000−4200rpm
・エンジン最大トルク:360Nm/1600-2750rpm
・タイヤサイズ:225/40R18
・WLTCモード燃費:20.0km/L

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