なぜトヨタ「ヤリス」から首位奪還出来た? 1年8ヶ月ぶりに「カローラ」1位! 両者好調の影にはSUVあり?
2020年4月から1年7か月にわたって登録車販売台数で1位を獲得し続けてきたトヨタ「ヤリス」。2021年11月のデータではトヨタ「カローラ」が1年8か月ぶりに1位となりました。新型コロナ禍で新型販売が低迷するなかで、両者が好調な背景にはどのような理由があるのでしょうか。
ヤリスが押し出され2位に!ついに首位はカローラ!両車の人気の理由は?
2021年12月6日に更新された日本自動車販売協会連合会(自販連)による同年11月の登録車販売台数のデータでは、トヨタ「カローラ」が2020年3月以来の1位となりました。
また、トヨタ「ヤリス」が2020年4月から1年7ヶ月にわたって死守していた首位を受け渡す形となっています。
昨今の新車市場は、新型コロナウイルスによる半導体や生産体制の影響により、全体的な台数低迷が続いているなかで、両車が好調なポイントはどこにあるのでしょうか。
2021年11月における登録台数は、カローラが1万3631台、ヤリスが1万1940台となっており、1500台ほどの差をつけてカローラが1位となりました。
自販連のデータにおいて、ヤリスには「ヤリス(ハッチバック)」「ヤリスクロス」「GRヤリス」が含まれています。
カローラには、12代目となるシリーズとして「カローラ(セダン)」「カローラツーリング」「カローラスポーツ」」「カローラクロス」、さらに11代目のシリーズとして主にビジネスユーザー向けに「カローラアクシオ」「カローラフィールダー」などが含まれているため、個々のモデルの販売台数というより、シリーズ全体の販売台数といったほうが適切です。
クルマによってニーズやターゲット層などは異なりますが、それでもヤリスとカローラがシリーズを通して多くのユーザーに支持されているということに間違いはありません。
そんな人気のあるヤリスとカローラですが、両車の人気のポイントはどこにあるのでしょうか。
ヤリスは2020年2月に登場したモデルで、トヨタの人気コンパクトカー「ヴィッツ」の後継にあたります。
同年8月にはコンパクトSUVのヤリスクロス、9月には高性能仕様であるGRヤリスもラインナップされました。
前述の登録車販売台数において、2020年4月から1位を獲得していたことを考慮すると、ヤリス自体もかなり人気なことがうかがえますが、実はヤリスクロスの存在がさらに販売台数を後押ししています。
トヨタの販売店の担当者は、ヤリスクロスの人気について「ヤリスよりヤリスクロスを求めるお客さまのほうが多く見られます。半数以上はヤリスクロスの問い合わせです」と話します。
実際にヤリスシリーズのなかで、ヤリスクロスの台数は6割から7割ほどとなっており、ヤリスよりもやや販売台数が多いことがうかがえます。
SNSを見ると、「ヤリスクロスカッコ良い!」「リアのデザインが良いよね」「色味が綺麗」というように見た目を称賛する声が多く見られました。
また、ヤリスクロスはカラーバリエーションが15種類もラインナップされており、ほかにはあまり見られないゴールド系のカラーやツートンカラーなど、個性的なものも目立ちます。
落ち着いたベージュ系のカラーに加え、定番のブラックやホワイトもラインナップされているため、年齢を問わずにカラー選択できるのが魅力といえます。
一方、カローラはどうでしょうか。カローラシリーズは、1966年から55年以上も続くロングセラーとなっています。
セダンやハッチバックといったモデルに加え、クーペなどあらゆるスタイルのモデルをラインナップしてきたのも特徴のひとつです。
歴史が長いうえにモデルラインナップの幅も広いため、幅広い年齢層から支持されています。
とくに、2021年9月に発売されたコンパクトSUVの「カローラクロス」は、当初渋谷駅に大きく広告が貼り出されたり、2021年12月現在でもテレビCMで宣伝されたりと、人目につく機会が多くなっています。
前述の担当者は「ヤリスクロスと同じ、もしくはそれ以上にカローラクロスのほうが人気です」と話しており、カローラシリーズのなかでも現在トップで問い合わせが多いようです。
カローラクロスは、日本ではコンパクトSUVに分類されることが多いですが、グローバルにおいてのサイズを表す「セグメント」では、ヤリスクロスはBセグメント、カローラクロスはCセグメントとクラスが異なっています。
そのため、ヤリスクロスと比べてカローラクロスは室内空間が広く、後席にゆとりがあるのが特徴です。
SNSでは、カローラクロスについて「すべてにおいてちょうど良い」「サイズ感がちょうど良いんだよね」などの声が見られ、「ちょうど良い」がキーワードとなっています。
このように、ヤリスとカローラが好調な背景には、シリーズとしての販売展開に加えて、どちらにも昨今流行りのSUVであることが挙げられます。
トヨタのSUVについて、前述とは別の販売店担当者は次のように話しています。
「トヨタには小さなライズ、ヤリスクロス、ミドルのRAV4やハリアー、3列シートを備えるランクルシリーズなど、さまざまなボディサイズや用途に対応するSUVラインナップを持っています。
そのため、トヨタブランド内でSUVの比較検討が出来るのも強みで、なかでもヤリスクロスとカローラクロスは、日本の街中で乗るにはちょうどいいこともあり、注目度は高くなっています」
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日本の市場にマッチするコンパクトSUVは、トヨタ以外でもホンダ「ヴェゼル」や日産「キックス」、マツダ「CX-30」、スバル「XV」、三菱「RVR」など各社がラインナップしており、今後もユーザーの関心が高いジャンルといえそうです。
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